
任天堂は8日、6月5日に発売する新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」を初年度に当たる2026年3月末までに全世界で1500万台販売する見通しを発表した。また、同日発表した25年3月期連結決算は、売上高が前期比30・3%減の1兆1649億円、最終(当期)利益が同43・2%減の2788億円で減収減益だった。17年発売の初代「ニンテンドースイッチ」の販売台数が前期比31・2%減の1080万台になったことなどが影響した。
日本国内では発売を前にスイッチ2の人気が高まっている。同社には4月23日、自社サイトでの初回抽選販売にはすでに約220万人からの応募があり同社の想定を上回ったため、相当数の落選が見込まれると明らかにしていた。同月24日からは小売店での予約開始も始まっている。
古川俊太郎社長は8日の決算記者会見で「(多くの)需要を受け、生産体制を強化するなどし、皆様の手元に少しでも多くスイッチ2が届けられるよう努力を続けていく」と話した。
初代スイッチの初期の販売台数は、発売日の17年3月3日から18年3月末までの間、全世界で1779万台(うち日本国内は438万台)だった。
スイッチ2の販売予想台数について古川社長は「販売単価も高くなるなど早期の普及にはハードルがあると認識しているが、(ゲーム機とソフトをセットにした)同梱(どうこん)版を投入するなどし、スイッチの最初の10カ月の販売台数と同等の水準を目指す」と話した。スイッチ2向けのゲームソフトの初年度の販売本数は4500万本と予想した。
スイッチ2の販売期待を織り込み、26年3月期の連結業績予想は売上高で前期比63・1%増の1兆9000億円、最終利益を7・6%増の3000億円と見込んだ。
1億5212万台を売り上げた初代スイッチの7割以上が海外販売だった。主要市場の米国ではトランプ米政権による関税強化策の影響で不透明感が漂っている。古川社長は4月10日時点の関税率を元に計算した場合、利益段階で数百億円のマイナス影響が出ると明らかにした上で、「価格調整を行えば需要が減少する可能性がある。関税により生活必需品が値上がりした場合、ビデオゲームに使われる予算が減る可能性がある。魅力を伝え販売につなげていきたい」と述べた。【妹尾直道】