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満員電車に「ドア地蔵」「シャケ」 乗降マナー、試される春


春の就職や進学により、電車利用者が増加し、満員電車の混雑が鉄道会社にとっての課題となっている。特に福岡市のJR博多駅では、新生活を始める若者が満員電車に不慣れで、乗降に時間がかかり、ダイヤの遅れが懸念される状況だ。このため、鉄道会社はホームでの誘導やアナウンスを強化しているが、首都圏や関西でも同様の問題が生じている。SNSでは新入社員の教育を求める声も上がっているが、実際には「ドア地蔵」や「シャケ」と呼ばれるような不適切なふるまいは幅広い年代で見られる。最近の出社回帰により混雑率が再び上昇しており、互いに譲り合う重要性が増している。

 就職や進学で新生活が始まる春、鉄道会社は駅や車内の混雑に神経をとがらせる。満員電車に慣れていない乗客が増え、乗り降りに手間取るからだ。ダイヤも乱れてしまうため、ホームへの駅員配置やアナウンスを増やしているが、解決するのは簡単ではなさそうだ。

 「乗車したら奥に進んでください」「すいている扉からご乗車ください」。真新しいスーツの若者が目立つ福岡市のJR博多駅では、朝夕のラッシュ時にアナウンスが繰り返された。九州各地から人口流入が進む福岡市では近年、多くの路線で混雑時に車両内が「すし詰め」となるのが当たり前になっている。

 ドア付近が混み合うと、乗り降りに時間がかかり、電車の遅れにもつながる。このためJR九州や西日本鉄道といった地元交通機関は4月、アナウンスやホームでの誘導を強化。こうした状況は首都圏や関西も同じだ。

 満員電車の経験が少ない若者にとっては、まさに最初の「試練」とも言うべき状態だが、通勤慣れしたほかの乗客の不満は強いようだ。交流サイト(SNS)上では「新入社員に満員電車の乗り方も研修してほしい」「ドアが開いた際は一度外に出て」といった書き込みがあふれている。

 もっとも、乗り降り時の「マナー違反」は新入社員に限らない。インターネット上では、ドア付近に立ち続けて乗降の邪魔になる客を「ドア地蔵」、降りる客の流れに逆らって乗り込む客を「シャケ」と表現することも。日本民営鉄道協会が調べた迷惑行為ランキングでも、こうした行為は、車両内での騒々しい会話や泥酔客と並び例年上位に挙がる。最近はイヤホンをつけてスマートフォンに集中し、周囲の客の動きに気付きにくい人も多い。

 もちろん、満員電車に不慣れな人の思いもある。地方出身者らからは「地元では列車もホームも人はまばらで並んで待つ習慣がない」「降りてくる人を待つ間、発車のアナウンスが流れると不安になる」という声や、「車両の奥に進むと駅で降りられるか不安」と心配する人も少なくない。

 これに対し、鉄道各社の担当者らは「周囲の乗客に気配りをしてお互いストレスを減らしてほしい」「無言で人を押しのけるとトラブルの原因にもなる。『降りまーす』と声をかけたら場所を空けてくれる」とアドバイスする。

 新型コロナウイルス禍以降、在宅勤務の普及でいったん鉄道の混雑率は緩和されていたが、最近は出社回帰が進む。国土交通省によると、2023年度の平均混雑率は3大都市圏ともに上昇。東京圏は前年度比13ポイント増の136%、大阪圏は同6ポイント増の115%、名古屋圏は同5ポイント増の123%だった。朝の混雑率が150%を超える路線もあり、「通勤・通学地獄」が復活する中、お互いの「譲り合い」精神が改めて大切になりそうだ。【久野洋】

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