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ウクライナ侵攻3年 日本に避難の学生、キーウに残る双子の姉思い心痛


ロシアがウクライナへ侵攻してから3年が経過し、日本では多くのウクライナ人が避難生活を送っています。筑波大学に留学中のウクライナ人学生マリーナ・ヘレツカさんは、日本の支援に感謝しつつ、キーウに残る家族の安全を心配しています。彼女は日本で建築関係の仕事に就き、将来に備えたいと考えています。しかし、ウクライナの大学での卒業要件の一部として対面授業があり、それが日本での進学・就職に支障を来すケースもある状況です。日本に滞在したいと希望するウクライナ避難民は多く、彼らの支援には様々な課題が残っています。

 ロシアがウクライナへ侵攻を開始してから24日で3年になる。出入国在留管理庁によると、国内では1982人(1月末現在)が避難生活を送る。2022年からウクライナの学生を受け入れてきた筑波大(茨城県つくば市)にも31人が在籍している。キーウ(キエフ)出身のマリーナ・ヘレツカさん(23)もその一人。日本でのサポートに感謝しながらもキーウに残る双子の姉ら家族の身を案じ、今なお戦争が終結しない現状に胸を痛めている。

 窓から明るい日差しが差し込んでくる筑波大の一室。流ちょうに英語で会話をしていたマリーナさんは、故郷のことを聞かれると言葉を詰まらせた。「私の周りでは知人や20歳に満たない人が亡くなっている。多くの人が亡くなっているのに、ロシア国内では戦争を肯定的に捉えている人が大半で非常に悲しい」

 侵攻が始まった3年前のあの日、マリーナさんはキーウの自宅にいた。ミサイル攻撃による爆発音とともに、外から大きな光が見えた。「ガラスが割れてけがをするかもしれない」。とっさに窓際から離れた。

 自宅に被害はなかったが、近所には窓ガラスが割れた家もあった。激しい戦闘が続く中、一家はキーウにとどまるのは危険と判断。22年3月ごろ、ポーランド国境のリビウに避難し、チェコを経由してドイツに渡った。

 マリーナさんはキーウ市内の国立大学に通っていたが、ドイツに身を寄せている時にインターネットで筑波大がウクライナの学生を受け入れていると知り、応募。オンライン面接などを経て受け入れが決まり、22年9月に来日した。

 両親と祖母はドイツに残り、双子の姉はドイツからリトアニアを経てウクライナに戻り家庭を持った。

 家族がバラバラになっても両親や姉とは週3回ほど通信アプリを使って連絡を取り合う。キーウで暮らす姉はサイレンを聞くたびに窓から離れ、浴室に身を隠す生活を強いられる。

 姉とビデオ通話をしている間にも頻繁にドローンが飛んできて、画面越しにその様子を見せられることもある。攻撃用のドローンの可能性もあり「戦争が姉の身近にある」と不安に駆られた。遠く離れた日本にいても心労は募るばかりだ。

 ウクライナでは建物が破壊され、「もう自分たちが活躍できる所がない」と祖国に戻ることを諦める友人もいるが、自身は決めかねている。まずは勉学に励み、日本で建築関係の仕事に就職して経験を積み重ねたいと考えている。

 ロシア国内ではメディアがコントロールされ、ウクライナ侵攻を肯定的に捉えている人が多いとされる。マリーナさんは言う。「『ウクライナは国ではない。ソビエトの一部だ』と誤った情報が発信され、それを見るたびにつらくなる。まだ戦争が続いているのはとても残念で悲しい。早く終わってほしい」【鈴木敬子】

7割超が「日本に滞在したい」

 日本財団が2024年10~12月、支援している18歳以上のウクライナ避難民887人に帰国の意思を尋ねたところ、「できるだけ長く日本に滞在したい」「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」との回答が合わせて7割を超えた。

 筑波大では学位取得を目的としない非正規生として避難民を受け入れてきた。この支援策は24年度で終了するが、利用した学生の大半が日本での進学や就職を望んでいるという。学生支援を担当する野村名可男准教授は「日本でキャリアを積むことが自分にとってプラスになると判断しているのだろう」と話す。

 だが、進路を決めるに当たって思わぬ壁に直面している。学生たちはつくば市のキャンパスで学びながら、ウクライナで通っていた大学の授業もオンラインで受講してきた。しかし、卒業認定には対面授業を受けていることを条件としている大学もある。そのため学位をもらえず、日本で就職先を探す際に高卒として応募せざるを得ないケースも出ているという。筑波大の担当者は「日本の大学で支援をしてもウクライナの学生が学位を取れるかは個々で事情が異なる」と対応に苦慮している。【鈴木敬子】

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