与野党は19日、自民党の派閥裏金事件を巡り、20日に予定していた旧安倍派の会計責任者だった松本淳一郎氏の参考人聴取を延期することで合意した。松本氏側が聴取の延期と聴取場所の事前非公開などを求めてきたため。聴取日程は与野党で改めて協議する。野党は松本氏への聴取を2025年度予算案の衆院採決前に実施するよう求めており、予算案の年度内成立が確実となる3月2日までに衆院を通過させられるか予断を許さない情勢になってきた。
与野党は18日、松本氏の聴取を20日に東京都内のホテルで行うことでいったん合意した。しかしその後、自民側が「松本氏の弁護士から聴取の延期を求める連絡があった」と先送りを要請。19日朝から衆院予算委理事会で与野党の代表者が対応を協議し、自民党の坂本哲志、立憲民主党の笠浩史両国対委員長による会談を経て20日聴取の延期を決めた。国対委員長会談では、予算案の衆院採決前に聴取する方針も確認。坂本氏は聴取の直前まで日時や場所を非公表とすることを求めたが、この点では折り合わなかった。
予算委野党筆頭理事の山井和則氏(立憲)は記者団に「国会として、国民の付託を受けて参考人招致をやる。招致の場所と時間を秘密にしろなんて、のめるはずがない」と語った。笠氏は、事前に通告した質問内容に対し、「この質問はおかしい」「これは重複している」といった「検閲」的な注文まで自民側からあったと指摘。「何を考えているのか。信じられない」と怒りをあらわにし、自民側の今後の態度次第では「(強制力が伴う)証人喚問も選択肢だ」と述べた。
松本氏の聴取を巡る与野党紛糾を受け、19日に石破茂首相も出席で予定されていた衆院予算委集中審議は中止となった。【池田直、森口沙織】