
トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスでインドのモディ首相と会談した。米国の貿易赤字が拡大しているため、不均衡の是正に向けた交渉を始めるほか、米国がインドに対する防衛装備品や石油、天然ガスの輸出を拡大することで合意。日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の重要性も確認した。
トランプ氏が2期目就任以降にホワイトハウスで外国首脳と会談したのは、イスラエル、日本、ヨルダンに続いて4カ国目。
トランプ氏は会談後の共同記者会見で「長年の格差について交渉で対処することで合意した。我々は一定の公平な競争条件を求めている」などと述べた。米政府高官によると、貿易赤字の削減に向け、年内の貿易協定締結を目指す。
ロイター通信によると、米国の関税率が約2・2%に対し、インドは約12%に上る。インドメディアによると、2023年度の米国からの輸入額は422億ドル(約6兆5000億円)である一方、米国への輸出額は775億ドルだった。
トランプ政権との貿易摩擦を回避したいインドは今月、排気量の大きいオートバイなどの関税引き下げを発表。モディ氏は記者会見で貿易協定の早期締結に意欲を見せ「2国間貿易の目標額を30年までに倍以上に増やし、5000億ドル(約76兆3000億円)にする」と表明した。
共同声明では、防衛協力の新たな指針に年内に署名する方針を示した。米国がインドに最新鋭ステルス戦闘機「F35」を供与する方向で調整を進める。インドは伝統的にロシアからの兵器購入が多いが、調達先の多角化を目指している。
また、トランプ氏が重視する不法移民対策に協力して取り組むことでも合意。モディ氏は、背景に貧困層をだまして米国に送り込む人身売買組織があるとして根絶に努めるとした。
米国の調査機関「ピュー・リサーチ・センター」によると、22年のインド出身の不法移民は約72万5000人に上り、出身国別で3番目に多かった。【ワシントン松井聡、ニューデリー川上珠実】