
ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が合意した停戦交渉の開始について「私たちが不在のいかなる合意も受け入れられない」と述べ、両者がウクライナの意向を考慮せず一方的に停戦案をまとめないようけん制した。欧州からは交渉に欧州を交えることを求める声も上がっている。
ロイター通信によるとゼレンスキー氏は、プーチン氏が交渉を米国との「二国間」のものにすることを狙っていると指摘。そうさせないことが重要だと訴え、米国とウクライナが先に停戦案を取りまとめた上でロシアと協議することを求めた。トランプ氏がゼレンスキー氏より先にプーチン氏と電話協議したことについては、「不愉快だ」と述べた。
トランプ政権はウクライナがロシアに占領された領土回復について譲歩する必要性を主張し、ウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟も否定する。ゼレンスキー氏は12日にトランプ氏に謝意を示したものの、不利な条件を強要されかねないという懸念が残っている。
一方、ヘグセス米国防長官は13日、ブリュッセルであったNATO国防相会合で、記者団に対し、ウクライナを「裏切っていない」と強調した。
だが会合では、ウクライナの頭越しに交渉を進めないよう求める声が相次いだ。欧州連合(EU)のカラス外務・安全保障政策上級代表(外相)は、トランプ氏の主張が既にロシアに譲歩した内容になっているとして「交渉が始まる前から全てを与えようとするのか」と批判した。英国のヒーリー国防相は「ウクライナ不在でウクライナについて交渉することはあり得ない」と指摘した。
ドイツのピストリウス国防相は、停戦交渉の結果は欧州に直接的な影響を与えるとして「欧州も交渉に参加しなければならない」と述べた。【ベルリン五十嵐朋子】