カナダのトルドー首相は1日、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すとの大統領令に署名したことを受け、1550億カナダドル(約16・5兆円)相当の米国産品を対象に25%の報復関税を課すと発表した。4日から順次、発動する。
対象産品には、トランプ氏の邸宅がある米南部フロリダ州の名産品であるオレンジジュースのほか、ビール、バーボンウイスキー、材木などを挙げた。カナダ消費者の痛みを最小限に抑えつつ、トランプ氏や共和党支持層への政治的影響を最大化する意図があるとみられる。300億カナダドル分は4日に発動し、残る1250億カナダドル分は3週間後に発効するとした。
首都オタワで記者会見したトルドー氏は「この選択はカナダ人以上に、米国の人々に大きな結果をもたらす」と強調した。「もしトランプ大統領が米国に新たな黄金時代を築きたいのであれば、我々を罰するのではなく、カナダと手を組むのが良い道だ」と述べ、再考を促した。
2023年のカナダの総輸出額の77%が米国向けだった。また、米国にとってカナダは最大の原油供給国で、原油輸入の6割を占める。
トランプ政権は1日の大統領令で、カナダとメキシコからの輸入品に一律で25%、カナダ産の原油などには10%の関税を課す。4日から発動する。
一方、メキシコのシェインバウム大統領も1日、自国の「利益を守る」ためとして報復関税を含む対抗措置を経済相に指示した。X(ツイッター)で明らかにした。【ニューヨーク八田浩輔】