米首都ワシントン近郊のロナルド・レーガン・ナショナル空港周辺で起きた小型旅客機と米陸軍のヘリコプターの衝突は、ポトマック川に墜落した二つの事故機に乗っていた計67人の乗員・乗客らの安否が焦点となっている。救助活動を阻むのは、厳しい寒さと真夜中の暗さだ。
「2機とも水中にある。今重点を置いているのは人々の救助で、それこそ我々の全ての職員が集中していることだ」。事故発生から約4時間後の30日午前0時50分すぎに始まった記者会見で、救助活動の指揮を執る地元当局のジョン・ドネリー氏は力を込めた。
「課題は我々が活動する水深約8フィート(約2・4メートル)へのアクセスだ」とし、救助活動が進まない理由について「風もあり、氷のかけらもあり、危険で作業しづらい。明かりも少ない。水は暗く、濁っていて、潜るにはとても厳しい状況だ」などと語った。救助は300人態勢で夜通し行われ、30日朝から加速する見通しだ。
既に複数の遺体を引き揚げたとする報道もあり、会見では「何人の生存者を発見し、何人の遺体を収容したのか」との質問が出たが、ワシントンのバウザー市長は回答を避けた。
「本当に深刻で悲しい事態が起きた」。会見には、旅客機が出発した中西部カンザス州選出の連邦上院議員2人も出席。そのうちの一人、ジェリー・モラン議員は「私はその便を何度も利用したことがある」と語り、地元にとって非常にショッキングな事故であることを強調した。
レーガン空港は29日夜の事故が起きた直後から、全ての離着陸が停止された。午後10時50分すぎに空港に到着すると、航空会社のカウンターは閉鎖され、荷物を抱えて飛行機を待つ人の姿はほとんど見られなかった。空港は30日午前11時まで閉鎖されるという。【アーリントン(南部バージニア州)西田進一郎】