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時速194キロ運転で死亡事故 弁護側、危険運転の成立争う姿勢


2021年2月、大分市で時速194キロで車を運転し、致命的な事故を起こした23歳の男性の裁判が開始されました。検察は男性が制御困難な速度で運転し、意図的に妨害運転をしたと主張、一方で弁護側は過失致死であると反論しました。被告が出血性ショックで相手を死亡させたことに起因するこの事件は、当初は過失致死で起訴されましたが、遺族の抗議を受けて危険運転致死に変更されました。判決は28日に予定されています。被害者の遺族は、危険極まりない運転が過失とされることに対し心情を語りました。

 大分市で2021年2月、法定速度の3倍超の時速194キロで車を運転して衝突事故を起こし、相手の運転手を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)に問われた当時19歳の男性(23)=同市=は5日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で起訴内容について「よく分かりません」と述べた。弁護側は危険運転の成立を争う姿勢を示し、より刑罰の軽い同法違反(過失致死)にとどまると主張した。

 検察側は、危険運転の適用要件として①制御困難な高速度②妨害目的で接近(妨害運転)――の二つを列挙。冒頭陳述では①について、時速194キロで走行すれば路面状況から車体が揺れたり、運転手の視野が狭くなったりするため、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れが高まった状態だったとした。②についても、現場は対向車線から右折車が来ることが想定できた道路で、高速で接近すれば右折車の運転を妨害し、回避措置を取らせることになるのは明らかだったと主張。2要件とも満たし、危険運転が成立するとした上で「常軌を逸した高速度による危険極まりない運転態様」と非難した。

 一方、弁護側は被告運転の車はアスファルトで舗装された道路で車線を逸脱せずに走行していたことから制御困難な高速度には該当しないと反論。被告が右折車の存在や回避措置の可能性を認識していたとしても「通行を妨げることを積極的に意図していない」とし、危険運転は成立しないと訴えた。

 起訴状などによると、被告は21年2月9日午後11時ごろ、大分市の県道交差点で乗用車を制御困難な時速194キロで直進。対向車線から右折してきた同市の会社員、小柳憲さん(当時50歳)運転の車を妨害する目的で接近して衝突事故を起こし、小柳さんを出血性ショックで死亡させたとしている。

 事故を巡っては、検察側は当初、過失責任を問う同法違反(過失致死)で起訴したが、反発した遺族らの署名活動などを受け、危険運転致死に訴因変更した。法定刑は過失致死罪が懲役7年以下であるのに対し、危険運転致死罪は最長懲役20年で極めて重い。判決は28日の予定。

 閉廷後に記者会見を開いた小柳さんの姉、長文恵さん(58)は「時速194キロの(運転による)事故が過失なわけがない。遺族の気持ちに少しでも寄り添った判決を待ちたい」と心境を語った。【神山恵、山口泰輝、井土映美】

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