日本維新の会所属の衆院議員だった足立康史氏(59)が27日投開票の衆院選で、自民党や公明党の公認候補の応援に駆け回っている。地盤を築いた大阪では4選挙区で維新と公明が「ガチンコ対決」を展開中。足立氏は古巣に反旗を翻し、何を訴えているのか。
「ずっと(維新の)中枢メンバーだったが、ここへきて維新はおかしくなった」。25日、大阪市内であった公明前職の街頭演説でマイクを握った足立氏は、かつて所属した維新を厳しく批判した。その一方で「公明党は政策活動費を使っていない」などと述べ、公明前職への支持を呼び掛けた。
足立氏によると、所属政党に関係なく、人柄や政策に共感する候補者を個人的に応援しているという。
足立氏は2012年の衆院選で初当選、4期務めた。維新では政調会長も務め、22年の党代表選に立候補したが、馬場伸幸氏に敗れた。
今年6月、SNS(ネット交流サービス)に不適切な投稿をしたなどとして、党から党員資格停止6カ月の処分を受けた。今回の衆院選にも大阪9区に無所属で立候補するつもりだったが、維新が対抗馬として新人を擁立したため出馬を取りやめ、政界引退を表明した。衆院選が公示された15日をもって維新の党籍もなくなった。
足立氏は25日の演説で、馬場氏が維新を「第2自民党」と称した過去の発言を引いて「小さい自民で、人材はいないし、政策もない。日本維新の会はいらない」と述べ、聴衆の拍手を浴びた。
24日には、大阪府内であった自民候補の街頭演説会場にも駆け付けた。来援した同党の石破茂総裁とともに登壇したが、この場では演説しなかった。
こうした足立氏の行動について、公明前職と争う維新新人は「もう何も言わない。もう(党と)関係ない」とひと言。維新陣営の関係者も「(足立氏が)何をやっても関係ない」と距離を置いた。【中田敦子、長沼辰哉】