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「厳しい戦いになる」 自民・和田義明氏、比例重複認めない方針巡り


 自民党総裁の石破茂首相が6日、派閥の政治資金パーティー裏金事件で不記載のあった議員について、次期衆院選で比例代表の重複立候補を認めない方針を示した。北海道5区の和田義明衆院議員は背水の陣での選挙戦を迫られることになる。自民関係者は裏金問題に対する世論の厳しさを肌で感じている。【石川勝義、平山公崇、金将来】

 「比例がなくなると、大変厳しいと思う。私は党の判断をいただく立場。仮に比例重複(立候補)ができなければ小選挙区で全力を尽くすしかない」。和田氏は6日、札幌市厚別区の事務所で報道陣の取材に応じ、石破首相の方針の受け止めを険しい表情で語った。夫婦で不記載問題のおわび行脚を続けており、「厳しい戦いが予想される」と話す。

 自民派閥の裏金問題を巡っては、離党・辞職した堀井学元衆院議員(比例北海道ブロック)を含め、北海道関係で4人の収支報告書不記載が判明した。このうち次期衆院選で審判を受けるのは、和田氏1人だ。2018~22年に計990万円の不記載があり、4月に党から戒告処分を受けた。

 道連は今月2日、和田氏を含む小選挙区の立候補予定者11人の公認を党本部に申請することを決めた。道連内に異論はなく、村木中幹事長は「和田さんは支援者に説明をしているし、処分を受けて区切りが付いている」と理由を説明する。

 だが、地元の有権者の目は厳しい。自民道議によると、支援者から「裏金が分からなかったのは脇が甘かったのではないか」「きちんと報告していればよかった話だ」などの指摘を受けるといい、その声に込められた怒りを感じるという。別の自民道議は「支援者は政策的に自民を応援したいが、怒りも残っていると感じる。これまで全力で応援に走ってくれた人が、今は『ジョギング程度』だ」と話す。

 「このままでは選挙を戦えない」という悲鳴も和田氏の地元事務所から出ている。和田氏は清和政策研究会の収支報告書の訂正に合わせ、自らの政治団体がキックバック(還流)を受け取った分の訂正を済ませたが、支出をまだ訂正していないからだ。和田氏は「衆院選の公示までに訂正する」としている。

 裏金問題を巡っては、北海道9区を地盤とした堀井氏も5年間に計2196万円の不記載があり、政治資金規正法違反(虚偽記入)と香典違法配布の公職選挙法違反(寄付行為)で罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。

 自民道9区支部は先月、9区の後任支部長候補に、コンサルティング会社経営の松下英樹氏(34)を選出。信頼回復に向けた役割を一身に担う松下氏は「クリーンな政治は繰り返し求められてきた。法令順守や会計監査はできて当たり前。当たり前のことを自分は実践していきたい」と語る。6日に苫小牧市の街頭に立つと、過去の問題には触れず目指す未来の姿を訴えた。

 有権者は石破首相の方針をどう受け止めたのか。札幌市北区の無職男性(68)は「本来は公認すべきではなく、比例代表との重複立候補を認めないのは最低限の対応だと思う。そうでなければ石破さんが総裁になった意味がない」と話した。札幌市中央区の会社役員の男性(29)は「国民に理解を求めるためのアピールだと感じる。政治にお金が必要。政治とカネの問題より政策の中身を評価して投票先を決めたい」と話した。

裏金問題処分と収支報告書不記載額

<党の役職停止1年間>

堀井学元衆院議員(離党、比例北海道ブロック)

2196万円

橋本聖子参院議員(比例代表)

2057万円

<戒告>

和田義明衆院議員(北海道5区)

 990万円

<幹事長注意>

高橋はるみ参院議員(北海道選挙区)

  22万円

 ※いずれも旧安倍派議員。金額は2018~22年の合計

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