米ニュースサイト「ポリティコ」は10日、11月の大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領の陣営から内部情報が流出したと報じた。トランプ氏の陣営は「米国に敵対する外国勢力」にハッキングされて内部情報を盗まれたと明らかにした。
IT大手マイクロソフトはイランが米大統領選への干渉を図っていると警告しており、トランプ陣営もイランがハッキングに関与したとの見方を示した。
報道によると、7月22日以降、「ロバート」を名乗る無料メールのアカウントから、ポリティコにトランプ陣営の内部の通信らしい情報が送られてくるようになった。今年2月付の副大統領候補の人選に関する計271ページ分の文書も含まれていた。ポリティコは複数の陣営関係者から「文書は本物だ」との証言を得たという。
ポリティコが送付者に入手元を質問したところ、「詮索しない方がいい。答えを知れば、法的な規制で内容を報道できなくなる」と回答があった。送付者は「トランプ氏の裁判や陣営内の議論などに関する多様な文書を持っている」とも主張した。
マイクロソフトの報告によると、イラン最高指導者直轄の革命防衛隊に関係するグループは米大統領選の「ある陣営」の元上級顧問のメールアカウントを乗っ取り、今年6月に陣営幹部に内部情報を入手するための偽メールを送っていた。どの陣営かは特定していないが、マイクロソフトは関係者には情報を共有したという。
トランプ氏は大統領在任中、イランなどとの核合意から離脱し、革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を暗殺するなど、対イラン強硬姿勢を取った。米司法当局の捜査では、イランは7月の銃撃事件とは別に、トランプ氏の暗殺を狙っていたことも発覚している。【ワシントン秋山信一】