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「神の使い」に暴行許さぬ 奈良のシカ蹴る動画拡散で県警パトロール


 奈良署は25日、奈良公園周辺で国の天然記念物「奈良のシカ」に危害を加えないよう、観光客に呼び掛けるパトロールを実施した。きっかけは、数日前から奈良公園とみられる場所で、観光客がシカを蹴る様子を映した動画がSNS上に拡散されたこと。奈良署は「シカが大きな傷を負えば法に触れる。絶対にしないでほしい」と呼び掛けている。

 この日は、県や市の職員、奈良の鹿愛護会のメンバーら約50人も参加し、シカとの適切な接し方について多言語で書かれたチラシを観光客に配布。さらに英語や中国語が堪能な奈良署員が、シカをたたいたり、蹴ったりしないよう注意喚起した。

 奈良公園に生息する「奈良のシカ」は神の使いとされ、古くから保護されてきた。興福寺によると、鎌倉時代にシカを殺した人が処刑された記録が残っているという。江戸時代には、馬に縛り付けて町中を引き回す大垣廻(まわ)しにされるなど、シカを殺せば厳罰に処されてきた歴史がある。

 「奈良のシカ」は1957年に国の天然記念物に指定された。シカに大きなケガをさせたり、死なせたりした場合、記念物を毀損(きそん)、衰亡したとして、文化財保護法違反で5年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金を科される。2010年にはシカに向かってボーガン(洋弓銃)で矢を放って殺したとして男女が、21年にはおののような刃物を頭にたたきつけて死なせたとして、男性が有罪判決を受けている。

 一方で、奈良署によると、シカにたたいたり蹴ったりの暴行を加えた場合でもケガが大きくなければ、仮に容疑者を特定できても、どのシカが被害を受けたか分からないため、摘発が難しいといった問題も抱えている。

 シカが蹴られる動画が拡散されたことを受け、県は近鉄奈良駅に設置されたデジタルサイネージ(電子看板)に、シカをたたいたり、追いかけたりしないように促す情報の表示時間を延ばす措置を執った。

 愛護会の山崎伸幸事務局長は「観光客が思いやりを持って奈良のシカに接してもらえるよう、今後も行政と連携していきたい」と話していた。【木谷郁佳】

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