米国防総省は17日、パレスチナ自治区ガザ地区に人道支援物資を搬入する目的で、米軍がガザ沿岸に設置していた浮桟橋の運用を終了したと明らかにした。建設費は2億3000万ドル(約360億円)に上った一方、悪天候などで5月の設置後の実質的な稼働は約20日間にとどまった。野党・共和党からは「無駄遣い」との批判が出ている。
浮桟橋は、イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続くガザで不足する食料や医薬品などを搬入するため設置された。バイデン米大統領の「肝いり」の政策だった。
小型船が物資を浮桟橋まで運び、荷降ろしの後、トラックでガザ北部へ運び込む仕組みだ。ただ悪天候のため、浮桟橋は度々破損したり、一時的に別の場所に移さざるを得なくなったりした。浮桟橋から物資を運ぶトラックが群衆に襲われるなど治安上の問題もあった。
浮桟橋を通じて、これまでに8000トン以上の物資がガザに運び込まれた。浮桟橋は解体され、今後は物資をイスラエル中部アシュドッドまで運び、陸路でガザに搬入するという。【ワシントン松井聡】