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北朝鮮外交官、韓国に亡命 「体制に嫌気さし、暗い未来を悲観」


 韓国大手紙「朝鮮日報」は16日、北朝鮮の在キューバ大使館で参事官を務めたリ・イルギュ氏(52)が2023年11月に韓国に亡命したと報じた。リ氏は長年にわたりキューバに駐在し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記から表彰を受けたこともある。亡命外交官としては16年に脱北した元駐英公使、太永浩(テヨンホ)氏に次ぐ高位となる。

 リ氏は北朝鮮外務省きってのキューバ通で、外務省中南米担当副局長を経て19年からキューバ大使館で政治担当参事官を務めていた。キューバと韓国の国交正常化を阻止することも主要な任務の一つだったという。リ氏亡命後の今年2月にキューバと韓国は国交正常化した。北朝鮮外交官は19年にも2人が韓国入りしている。

 妻子と共に亡命したリ氏は、動機について「北朝鮮の体制に嫌気がさし、暗い未来を悲観し、こんな社会から抜け出したいという気持ちから、脱北を考えるようになった」と述べた。

 リ氏は「北朝鮮住民なら誰でも一度は韓国で生きてみたいと思うようになる」とも語った。また「(北朝鮮の住民は)子供が未来にもう少し良い人生を送るためには統一しかない、という考えを共有している。だが金正恩体制はその希望さえ無残に奪った」と述べた。金氏は23年12月、南北を「敵対的な2国家関係」と位置付け、「平和統一」からの方針転換を明確にしている。

 リ氏は1999年に北朝鮮外務省に入省。キューバ大使館勤務だった13年、北朝鮮の船が戦闘機の部品などを積載してパナマ運河を通過しようとして摘発された際、パナマ側と交渉して船長と船員の釈放に成功した。この功労を評価され、金総書記から表彰された。

 金総書記と直接近くで会った印象についてリ氏は「向かい合って座れば平凡な人間だ。近くで見ると顔がとても赤い。血圧がとても高いと分かった」と話した。【ソウル福岡静哉】

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