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私の声も聞いて! 自治会悩ます募金の「強制」を考える


 善意で集めるはずなのに自治会費から強制的に天引きしている「緑の募金」を巡る問題で、毎日新聞の一連の報道後、自治会関係者や読者から電話やメールが多く寄せられた。天引きを問題視する声が多い一方、地縁の濃い地方からは天引きによる寄付金集めを容認する意見もあった。地域に欠かせない共助の担い手はどうあるべきか。身近な存在の自治会への関心の高さをうかがわせた。

事実上の強制?

 緑の募金は戦後、荒廃した山々の森を育てることを目的にスタート。1995年には国民全体による森林整備の推進と必要な募金額を確保するための法律(緑の募金法)も制定され、各地に浸透した。各都道府県が募金する公益団体を指定し、そこが目標額と使途の計画を策定している。

 ただ、実際の寄付金集めは各地の自治会にお願いするケースが多く、自治会の会長や役員らが各戸を訪問するなどして集める「家庭募金」が年間の募金総額約20億円(2023年実績)の半数近くを占める。毎日新聞はこの家庭募金を巡り、自治会側が高齢化などを背景に自治会費から天引きするなど、住民が反対しにくい「事実上の強制」とも言える募金の実態を報じた。

かなりの地区で

 各地の自治会では、緑の募金のほか、赤い羽根共同募金、歳末助け合い募金、日本赤十字社への寄付金、社会福祉協議会の会員会費を各戸に求めるケースが多い。自治会長を務める茨城県の男性はメールで「これらの募金や会費は本来任意であるはずだが、かなりの地区で半強制的に徴収されている」と明かした。

 この男性は募金や会費は任意であることを明示して協力をお願いしているというが、「何十年も慣習的に行われてきた『半強制的な徴収』法はまだ完全に改まってはいない」と問題を提起した。

 東日本のエリアでは、住民間の募金への同調圧力が強く、寄付をしないと介護サービスをまともに受けることができないと考える高齢者がいることを訴える人もいた。ある募金の担当者から、自治会費から寄付金を天引きできないかと打診された自治会役員もいた。

寄付が増える国に

 3月まで1年間にわたり自治会長を務めた宮崎県の男性は「緑の募金をはじめ、赤い羽根共同募金、歳末助け合い募金などが半強制的に自治会費に組み込まれている。金額の問題を言っているのではない。自治会の中でおかしいと話をしたが、異論が出ない。逆に『なんでそんなことを言うのか』と問われた」と語る。

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」からも声が寄せられ、ある人は「私の住む地区では封筒が配布され、募金に応じる人が組長に持っていく形だ。数百円の近所付き合いのためと言う人の気持ちがとてもよく分かる」と記した。「おかしいなと思うことも言い出しにくい。新聞の記事になることで話しやすくなるかもと思った」と打ち明けた。

 埼玉県の女性は所属する自治会のことを電話で話してくれた。自ら集金する時は「募金は強制ではない」と伝えているというが、「集金という形を取ると半強制、寄付をしないと白い目で見られると考えてしまう」という。転居してきた若い住民は断ることが多いものの、「古くからの住民はもやもやしながらもお付き合いだからと少額の寄付をしてくれる」という。

 女性は「本来なら国がやることを寄付で賄うのはおかしなことだ」と疑問を投げかけ、「このような記事をきっかけに募金が集金で成り立つ社会ではなく、自発的な寄付が増えるような国になってほしい」と話した。

「昔からのことだ」

 半強制的な募金を容認する声もあった。

 山口県の男性は「全く現場を知らない。人と人のつながりはどうつながっていくのか聞きたい」と記事に反論した。

 各地の自治会は役員の高齢化を背景に危機的な状況にある。男性は「人間がつながりあって暮らしていくには、のりしろが大切だ。少しずつ互いに負担がないとつながりあえない」と指摘。「こういうのりしろがないと共同体を壊す。募金は自治会活動と関係ないといっても、昔からのことだ」などと訴えた。【山下貴史】

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