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東北の山奥で駐車場が3時間待ち、なぜ? 「八幡平ドラゴンアイ」


 円安などを背景に各地でオーバーツーリズム(観光公害)が深刻化する中、秋田・岩手県境にまたがる八幡平(はちまんたい)(1613メートル)の山頂付近にある鏡沼(かがみぬま)(秋田県仙北市)で春の一時期だけ見られる「八幡平ドラゴンアイ」を見ようと、観光客が押し寄せている。駐車場に入るまで3時間待たされた日もあり、雪道を軽装で歩いて転倒する人も出ていて、地元からは戸惑いの声も聞かれる。

 鏡沼では凍結していた円形の沼が春の訪れに合わせて毎年、中心部分から解け出し、やや高い位置から見ると、竜の目のように見える。台湾からの観光客が2015年、ネット交流サービス(SNS)で「ドラゴンアイ」と発信したことをきっかけに観光地として徐々に有名になった。

 取材した5日も平日で、昼過ぎまで濃霧や局地的な大雨でドラゴンアイを見られない時間帯があったにもかかわらず、大型観光バスが次々と到着した。「東京から8時間かけて貸し切りバスに乗って来た」という台湾からのツアー客の一行は実際に見られず、口々に「残念だ。ぜひ見たかった」と話していた。

 ドラゴンアイの最寄りの駐車場は約1100台を収容できるが、岩手県八幡平市観光協会によると、5月18、19日の週末は最長で3時間待ちの車列ができた。平日でも日によって朝から駐車場待ちの状態だという。海藤(かいとう)美香事務局次長は「オーバーツーリズムの域に入ってきたように感じる。来シーズンは県警や自治体など関係機関が話し合って、対策を練る必要があると思う」と話す。

 最寄りの駐車場からドラゴンアイまでは、上りの山道を約20分歩かねばならず、6月5日もところどころが雪道だった。駐車場に隣接する八幡平山頂レストハウスの外壁に取り付けられた温度計は正午でも気温8度を指していた。

 風を遮る上着が無いと、寒くて歩けないほど。ツアー客は山歩きの装備をした人が多いが、個人客の中には半袖、スニーカー姿の人も。レストハウスで200円で長靴を貸してくれるが、この日も知らずに訪れた日本人の若者グループがスニーカーをはいて滑って転びそうになりながら雪道を歩いていた。

 ドラゴンアイは例年、5月下旬から6月上旬にかけて1週間ほどしか見えないことが多いが、今年は朝に気温が下がって再凍結しているためか、5月中旬から見ごろが続いている。海藤さんは「気温が20度近くまで上がれば、翌日には解けきって消えてしまうかも」と話しており、同協会はホームページで最新の情報を発信している。

 国内では各地でオーバーツーリズムが社会問題化している。山梨県や静岡県では富士山の写真を撮りたい外国人客が殺到し、山梨県富士河口湖町では、道路に富士山を隠す幕が設置された。京都市内では路線バスに長蛇の列ができて、地元住民の暮らしに影響が出ている。【早川健人】

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