愛媛県新居浜市の市立小学校で5月、2年生の男子児童が転倒して頭を打ち、嘔吐(おうと)などの症状があったにもかかわらず、学校がすぐに救急車を呼んでいなかったことが分かった。児童は頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などの重傷を負い、現在も学校に通えていないという。市教委は母親からの連絡で詳細を把握し、学校の対応は不適切だったと判断。校長に口頭で注意し、「再発防止に努めたい」としている。
市教委によると、児童が転倒したのは5月24日午前8時ごろ。鉢植えの水やりをして教室に戻る途中、他の児童と出会い頭にぶつかって転倒し、地面に頭を打ちつけた。意識はあったが、顔色が悪く、少量の嘔吐もみられた。
学校は児童を保健室に連れていき、担任教諭が母親に連絡。すぐに救急車を呼ぶよう求められたが、症状に改善がみられたとして、救急車を呼ばなかった。約30分後に母親が学校に駆けつけた際、児童がふらついて再び嘔吐したため、母親は再度、救急搬送を要請。学校は救急車を呼んだが、119番通報は転倒の約40分後、救急車が到着したのは約1時間後だった。
市内の病院に搬送された児童は、左頭部の頭蓋骨骨折と外傷性くも膜下出血の診断を受けて入院。一時は集中治療室(ICU)で治療を受けるなどしたが、27日に退院した。医師からは6月3日からの通学許可を得たが、現在も頭痛などを訴えており、登校できていないという。
市教委は事故当日、学校から児童が転倒して救急搬送されたことなどの報告は受けていたが、詳細な経緯は把握していなかった。5月30日に児童の母親からの連絡で初めて把握。学校からは「症状が快方に向かっていたため、救急車を呼ばなかった」との説明を受けたという。【広瀬晃子】