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少額の電子マネーでも違和感 警察官目指す大学生、特殊詐欺防ぐ


 京都市伏見区の倉谷侑希さん(21)は、アルバイト先のコンビニで、電子マネーをだまし取る特殊詐欺に遭いそうになった高齢者に勇気を持って声かけし、被害を防止した。現在大学4年生で、卒業後は京都府警で府民のための警察官になることを志す。感謝状を贈られ、その決意を新たにした。

 その出来事が起きたのは4月15日正午ごろ。セブンイレブン深草直違橋店のレジカウンターで接客業務をしていた。「これを下さい」。電子マネー3000円分のカードを差し出したのは高齢女性。落ち着きの無い様子に違和感を覚えた。

 電子マネーを購入しようとする人には普段から声かけをするようにしていた。この女性からは電子マネーの種類についてなど、逆にたくさん質問された。電子マネーを使うほどネットに慣れているように思えなかった。

 電子マネーの用途を尋ね、女性にスマートフォンの画面を見せてくれるようお願いした。画面には「ご当選おめでとうございます」という広告のようなものが表示されていた。

 伏見署によると、当時72歳のこの女性は、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、「Global Reward(グローバルリワード)」を名乗るアカウントから「18億円もらえる」という内容のメッセージを受けた。そして、お金を受け取るための「手数料」名目でアップルギフトカード1000円分を買うよう指示されていたという。

 詐欺であることを確信し、すぐに110番通報をした。女性を店内のスペースに誘導し、警察の到着を待った。

 「1人にさせたらいけない」。女性と一緒に待ちながら、世間話を織り交ぜ、ここまで来た経緯を聞いたりして、自分の知っている特殊詐欺の手口について一生懸命伝えた。

 伏見署員たちが駆けつけた時には女性は詐欺であることを理解し、落ち着いた状態だったという。

 「電子マネーが少額であっても疑問を持って声かけしたことが勇気ある行動だ」と同署の担当者はたたえる。「少額被害からどんどん高額請求につながり、高額の電子マネーを購入しようとして止められた時にはすでに何件か被害に遭っているということもある。最初の被害を食い止めた意義は大きい」と感謝する。

 「身近にもこんなことがはびこっているんだ」。被害者を一人減らすことができた、とほっとする気持ちと同時に、緊張感も感じた。

 現在、府警の警察官を目指し採用試験を受験中だ。警察官を志したのは警察庁の技官だった祖父の影響。祖父は寡黙で、自分からは仕事ぶりや過去を語らないタイプだった。だが地下鉄サリン事件にも対応したと家族から聞いた。

 幼いころからそんな祖父の姿に憧れていた。だからこそ警察官という仕事にハードルの高さも感じていたが、就職活動の時期を迎え、チャレンジすることに決めた。

 大学では文学部で浄土真宗について学んだ。人との関わりについて、相手からの感謝を求めないという教えに、職務を遂行しても「当たり前」と見なされがちな警察官の立場と共通するものを感じている。「『人として当たり前』という感覚を就職しても大事にしたい」と語る。

 5月29日、被害を防いだことについて、同署の司農将至署長から感謝状を贈られた。目指す存在である警察官を前に、「判断力や決断力のある警察官になりたい」ときっぱり。この経験を生かしてさらに活躍するはずだ。【林田奈々】

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