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クレーマーの声、目玉のおやじだったら…AIでカスハラ対策


 働く人が顧客から著しい迷惑行為を受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策として、ソフトバンクが人工知能(AI)を使った新技術を開発している。電話でのクレーマーの音声を穏やかに聞こえるように変え、オペレーターの心理的負担を和らげるもの。2025年度中の事業化をめざしている。

 同社が研究開発しているのは、電話での問い合わせに対応するコールセンター向けの「エモーション・キャンセリング」。AIの音声加工技術を用いて電話相手の音声を変える。文言はそのままだが、声の高さや抑揚を穏やかなものにする。感情的な要素を排した機械的な音声では顧客の要求に正確に返答できなくなるという当事者の意見も取り入れ、調整をした。

 AIは怒鳴り声や嫌みの口調などさまざまな表現を学び、音声変換を改良していく。現状では女性の声と男性の声で各3種類あるが、将来的には自分に合ったトーンを選べるようパターンを増やす予定だ。

 社内起業制度を機に、21年度から研究を進めてきた。開発のきっかけは、プロジェクト代表の中谷敏之さんがカスハラに関する報道を見て、「怒鳴り声が(アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する)目玉おやじの声だったら怖さが減るはず」と思いついたことだった。電話での苦情は、顧客をなるべくたらい回しにしないよう、最初に受けたオペレーターが一貫して対応しなければいけないことが多い。中谷さんは「サービスへの不満だけでなく、社会や個人的な不満まで圧縮されてクレームとしてぶつけられることが多い。オペレーターが心をすり減らすのを防ぐ『心の盾』を持ってほしい」と話している。

 カスハラには、暴言をはかれる、長時間対応を強いられる、執拗(しつよう)に謝罪を要求されることなどが該当する。厚生労働省が今月発表した、職場でのハラスメント実態調査では、過去3年間で約3割の企業が従業員からカスハラの相談を受けていた。

 国はカスハラから従業員を守る対策を企業に義務付ける検討をしているが、事後のケアが中心で、予防策は遅れていた。ソフトバンクは来年度の外部販売を目指し、今後はノイズや複数の声への対応といった課題の解消に取り組む。【藤渕志保】

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