マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を巡って福岡県歯科保険医協会(福岡市博多区)が実施したアンケートで、マイナ保険証の受付システムを導入した歯科医院の7割が「トラブルがあった」と回答した。受付でのトラブルや他人の情報に誤ってひもづけされていたことが明らかとなり、医院の業務負担が増えている実態が浮かんだ。
調査は23年11月~24年1月に同協会の会員1614歯科医院を対象に実施し、152医院が回答。同協会がその回答をまとめ、3月末に結果を公表した。
それによると、マイナ保険証の受付システムを運用している142医院のうち、トラブルがあったと答えたのは7割(104医院)に上った。内容(複数回答)は、保険者情報が正しく反映されなかった(70件)▽機器などの不具合でカードがうまく読み取られなかった(46件)▽他人の情報にひもづけされていた(2件)――など。具体的には医療費の負担割合の誤表示や顔認証に長時間を要するなどがあった。
発生したトラブルへの対応については、健康保険証で確認したケースが最も多く、マイナ保険証への対応で受付業務が増えたと回答したのは、トラブルがあったと回答した医院のうち7割(79医院)に上った。
同協会によると、マイナ保険証の導入などを理由に閉院を検討しているという相談が数件あるなど、医療機関の負担になっているという。同協会事務局の山下友宙さん(40)は「歯科医院は小規模で診療しているところも多く、マイナ保険証のトラブルに追われ、診療への影響が出ている医院もある。安定的な医療提供への阻害になっている」と話し、現行の健康保険証の継続を訴えた。
マイナ保険証の情報を読み取り、健康保険への加入の有無などを確認できる「オンライン資格確認システム」の導入が23年4月に原則義務化され、全国の医療機関で導入が進んでいる。しかし、読み取り機にマイナ保険証をかざしても「無効」などと表示されるトラブルが続いているという。現行の保険証は24年12月に原則廃止となる予定だ。【田崎春菜】