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「座して待つより…」 人口減、工場撤退に悩む町のJAが新たな一手


 北海道本別町のJA本別町が、独自の開発商品や地場産の豆を使った町内の和菓子などを帯広市の大型店で販売し、生産者や民間事業者の収益増を目指す取り組みを始めた。加速する人口減少と相次ぐ食品工場の撤退決定で町は厳しい環境下にあるが、「座して待つよりチャレンジを」(JA関係者)と、地域内で埋もれがちな逸品をPRして町を盛り上げたい考えだ。

 同JAと連携して本別産品を扱うのはディスカウント店「MEGAドン・キホーテ西帯広店」。帯広物産協会の仲介で3月15~17日、同店食品売り場で「本別フェア」を開催し、その後も店内で商品販売を継続することになった。

 JA本別町が単独で物販イベントを開催したのは初めて。一方、同店も一つの農協に特化したフェアを実施するのは初の試みだった。

 出品したのは、既に広く知られた電子レンジ専用「北海道十勝ポップコーン」(前田農産食品)、同JA開発の高級あんこ「稀」などのほか、町内の「くり豆本舗」製造のようかん、甘納豆など。同JA関係者は「くり豆本舗は地元では有名だが、他地域では知らない人が多い。商品を露出する場は重要だ」という。

 帯広物産協会の木戸善範事務局長は「集客力のある大型店で、農協がブランド力を発揮し、特産品を発信する流れが定着できれば」と期待。同店の小川英二副店長も「今後も本別町の特産品販売に協力したい」と話す。

 フェアに先立つ3月12日、帯広市内で記者会見した同JAの佐野政利組合長は「本別町は日本一の豆の町として評価されている。商品を通じて、実際に本別に足を運ぶきっかけになってほしい」と狙いを説明した。

 こうしたJA本別町の積極姿勢の背景にあるのは、停滞感に覆われた町の現状に対する危機感だ。

 2月末現在の本別町の人口は6160人で、ピーク時(1959年)の約1万8800人から3分の1に減少。ここ5年間でも約900人減っている。

 さらに、ビートを原料に砂糖を生産してきた北海道糖業(札幌市)本別製糖所が2023年3月で砂糖生産を終了。牛乳・乳製品製造大手の明治(東京都)も23年12月、中標津町での新工場建設に伴う道東地方の生産体制の再編で、本別工場の生産を27年に中止すると発表した。

 地元経済をけん引してきた2大食品工場の生産中止、撤退の衝撃は大きく、明治の生産中止発表を受け、町と同JAなどは対策協議会を設置して対応を検討している。

 同JA企画課考査役の岡田圭史さんは「厳しい状況の中、農協が生産者とともに、地域の事業者も応援する必要があると考えた。今回の試みは地域の商品を発掘、開発し、発信力を強化するための第1弾です」と話した。【鈴木斉】

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