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「オフィスに置き飲料いかが」 障害者の工賃アップ狙い新事業


 障害のある若者たちの工賃をもっと上げたい――。名古屋市の福祉団体が、障害者の就労事業所で梱包(こんぽう)された日本茶や紅茶、コーヒーをオフィスなどの「置き飲料」として企業に購入、設置してもらうプロジェクトを立ち上げた。こうした作業所では下請けの仕事が多く、平均工賃は月1万7000円ほど。「フェアトレードとは言いがたい」という現状の打開を目指している。

 プロジェクトに取り組んでいるのは、一般社団法人「障がい者みらい創造センター」。同法人は障害者総合支援法に基づく福祉的な就労の一つ「就労継続支援B型」の事業所を運営し、そこでは10代後半~20代の15人ほどが働いている。

 「B型」は雇用契約を結ばないため柔軟に働くことができるが、最低賃金は保障されない。厚生労働省によると、B型の事業所は2023年4月時点で全国に1万6295カ所あり、利用者は33万3690人。給料にあたる工賃は平均月1万7031円(22年度)で、時給に換算すると243円にとどまる。

 代表の竹内亜沙美さん(40)は「下請けの仕事が多いが、障害の重い人たちも自信を持ってできる作業を探し、適切な工賃を出していくのはなかなか大変」と打ち明ける。

 同法人ではこれまで、工具を磨いてきれいにする▽商品を小分けにして発送する▽チラシを折る――などの仕事を請け負ってきたが、1個あたりの報酬は数十銭~100円程度という。「力になりたいと思ってくれる会社は多いが、『福祉施設は低コストで作業を担ってくれる』との認識も根強く、フェアトレードとはどうしても言いがたい」と話す。

 そこで竹内さんは、下請けではなく自分たちで商品を作り出し、販売することを思いつく。名古屋市の老舗お茶専門店「妙香園」などに協力を仰ぎ、同店の日本茶ティーバッグやコーヒー店のドリップコーヒーを企業などに販売し、オフィスの「置き飲料」として設置してもらうプロジェクトを考案した。

 包装紙は、事業所で働く若者たちが描いたイラストを元にプロがおしゃれにデザイン。商品の補充も若者らが担う。加藤舞華さん(19)は「(包装紙を袋状にして)丁寧に折るのが難しかったけれど、だんだん早くできるようになってきた。自分が作った物を買ってもらって感動した」と笑顔を見せる。

 名古屋市瑞穂区にある自動車整備会社のオフィスで2月から置き飲料の導入を始めた佐藤鉱一郎社長(56)は「一生懸命に取り組む彼らを応援していきたいし、地域貢献にもつながっていけば」と話す。

 商品は1個550~600円で、120個をセットにしたコースなどを設定する。竹内さんは「工賃を平均の倍以上にしていきたい」と意気込み、そのためには毎月10社以上の導入が必要として協力を呼びかけている。問い合わせは、みらせん堀田(052・627・7355)。【加藤沙波】

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