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「特例」天下り廃止、名ばかり公募阻止を 元大阪府議・原田亮さん


 元大阪府議の原田亮さん(37)は、毎日新聞が府の特例天下り問題を報じた直後の2022年10月以降、府議会でこの問題を複数回にわたって取り上げ、府を追及してきた。特例の正当性を主張し続ける府に、野党会派にいた原田氏は「府民の目からは天下りと変わらない」と迫り、廃止を求めた。23年4月の府議選で落選し議場での発言が許されない今、特例廃止に何を思うのか。【聞き手・石川将来】

 そもそも府は吉村洋文知事が代表を務める大阪維新の会による行政運営のもと、部長級ポストや府立高校の校長にさえ民間人材を充て、公募してきた。「民間の知見を幅広く生かす」という維新の理念を否定しないし、私も似た感覚を持っている。ところが特例はそれに全く反した制度で、違和感があった。

 なぜ府が人事という形で指定出資法人に関与する必要があるのか。資本金の多くを出資する立場から知事が意見を述べたり、府が法人を評価したりすることもできるのに、OBを送り込む必要がどこにあるのか。府議会でも納得いく答弁はなかった。

 府職員時代の豊富な経験が生かせるというのなら、民間人も交えた公募を実施し、OBには加点評価すればいいだけだ。なぜかたくなに天下りポストを守り続けるのか。既得権益打破への思いは知事に共感しているのに、特例天下りはまさに既得権益を維持するものであり、「やっていることは違うじゃないか」と残念に感じた。

 府職員が再就職する際に登録が義務づけられている「人材バンク」については、追及する中で、特例で天下ったOB本人さえ知らない間に府が代行登録していたと分かった。人材バンクを通す意味は、再就職する(元)職員と法人が自発的にマッチングするためだ。これで職員基本条例で定めた「あっせん禁止」が保証されるが、代行登録となれば条例違反をのがれるためだけの作業で、人材バンクの意義が形骸化してしまっていた。

 誰が考えてもおかしな点がたくさんあった。にもかかわらず最大会派の維新の府議は議会では疑問を抱くことなく、知事をフォローする質問をした。二元代表制が機能していないと感じた。

 こうした制度が府に残っていたと知る府民はほとんどいないと思う。多くは「維新行政になって天下りはなくなった」という意識でいるのではないか。専門家による第三者委員会から「お墨付き」を得たことを隠れみのに、結局は天下りが残っていることに憤りを感じたが、議論が複雑で中身が府民に浸透しきらなかったことに悔しさも覚えた。

 今回特例が廃止されると聞き、その点は報われたと感じる。廃止理由として40代の職員が少なく、将来的に管理職の担い手が減ることを上げているというが、これは元々分かっていた話だ。「民間人も含めて公募すべきだ」という私の主張に、府は「府と密接に関わりのある法人であるから、人的に関与する必要がある」と特例の正当性を強調し続けた。であれば、廃止の理由は「人的に関与する必要がなくなった」という内容でなければおかしい。

 議会では、府庁内で深刻化している職員の時間外労働の問題にも質問を重ねてきた。維新は職員数の削減に伴う財政への貢献を強調するが、人員削減は手段であり自慢すべき成果ではない。人的関与ポストについても、本当に必要な制度で「職員が足りない」のであれば、補充して対策を打つべきだ。

 実際は、府は特例廃止のタイミングをうかがっていたのではないかと感じる。判断は評価したいが「最初からできたでしょ」とも思う。私が現役府議なら廃止によって民間人が何人、法人の役員に就いたか、公募の周知期間は十分かなどを尋ねたい。結果的に府関係者ばかりが就く名ばかりの公募とならないよう注視していきたい。

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