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「誰の指図も…」 ゼレンスキー氏側近、米中けん制発言で解任か


 ロシアから侵攻されているウクライナでは、軍や政権の高官が相次いで更迭されている。3月下旬に更迭されたウクライナのダニロフ前国家安全保障国防会議書記は、遠慮しない対外発言を繰り返してきた。解任劇の発端の一つと指摘されているのが、22日に首都キーウ(キエフ)で開かれた「安全保障フォーラム」にパネリストとして登壇したダニロフ氏の発言だ。

 当日、ウクライナが続けている無人航空機(ドローン)によるロシアの石油精製施設への越境攻撃について、米国が原油価格高騰への懸念からウクライナに中止を要請したとの英紙の報道があった。司会者から事実関係を問われたダニロフ氏は「驚きだ」としたうえで、「我々はロシアでの攻撃対象について誰の指図も受けない。我々はそれらを破壊するだけだ」と米国をけん制した。

 さらにダニロフ氏は「なぜ我々は今、戦争状態にあるのか」と切り出し、批判の矛先を西側諸国に向けた。ソ連崩壊(1991年)後にウクライナに残された核弾頭の放棄と引き換えに、ウクライナの領土保全を米英露の3カ国が約束した「ブダペスト覚書」(94年)に言及。覚書が結果としてロシアにほごにされたことを挙げ、「我々は国土を守るための兵器を奪われたまま、ロシアと向き合わなければならなくなった」と米英を糾弾した。

 こうした発言は少なからず、ウクライナの国民感情を代弁しているとみられる。一方で、ウクライナは武器調達でも経済運営でも西側諸国頼みなのが現状だ。特に最大の支援国である米国との関係悪化は避けたいため、ゼレンスキー氏がダニロフ氏の更迭に踏み切ったとの見方が出ている。

 またダニロフ氏は中国への警戒感も隠してこなかった。3月19日に出演した国営テレビでは、ロシアとの停戦や和平交渉を促す中国の姿勢にいらだちを吐露。「ウクライナは条件を指示されることはないし、領土の主権を奪われることもない」と述べ、ウクライナ情勢を担当する中国政府の李輝ユーラシア事務特別代表の名前を、ウクライナ語で軽蔑的な意味を持つ言葉と似た発音で呼び、物議を醸した。

 ウクライナ政府はロシアへの影響力を持つ中国との外交も重視しており、ダニロフ氏の更迭には、中国との関係悪化を防ぐ思惑があったとも推察されている。【ブリュッセル宮川裕章】

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