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ロシア、ウクライナ双方がエネルギー関連施設への攻撃強化 耐久戦に


 ロシアがウクライナのエネルギー関連施設を狙った攻撃を強化し、各地で停電などの被害が続く。ウクライナ側もロシアの石油精製施設や発電所を攻撃して対抗。双方が相手の戦闘継続能力の低下を狙う「耐久戦」の様相が強まっている。

 ウクライナ南部オデッサでは25日、ミサイル攻撃で送電設備が損傷した。大手電力会社DTEKは緊急停電を実施し、30万人以上が影響を受けている。エネルギー省は24日、西部リビウで電力施設が攻撃を受け、一部で火災が起きたため、電力供給を停止したと発表。首都キーウ(キエフ)を中心とする地域でも同日、攻撃で送電線が損傷し、1400世帯の住居が停電したと発表した。国営ガス企業「ナフトガス」も24日、ガス貯蔵施設が攻撃を受けたと公表している。

 ロシアは22日、ウクライナ各地の発電・送電施設などを標的に、ミサイル約90発、無人航空機(ドローン)約60機で一斉攻撃した。この攻撃によってDTEKは、発電能力の実に50%を失った。ウクライナ国営メディアなどは、一時は全国で120万人が停電の影響を受けたと報道。24日時点で、東部ハリコフ州の20万世帯、東部ドネツク州の4万2000世帯の住居が停電中と伝えた。

 水力発電所や原発も攻撃を受けた。ウクライナ当局によると、南部ザポロジエ州では22日、水力発電所が8回攻撃されて出火。国際原子力機関(IAEA)によると、ザポロジエ原発では同日、主要な送電線との接続が約5時間途切れ、非常用の送電線で原子炉を冷却する事態となった。IAEAはロシアの侵攻開始以来、危険が常態化したと指摘している。

 ウクライナ・エネルギー省によると、同国は一斉攻撃を受けた22日までは1日3300メガワット時の電力を輸入し、2148メガワット時を輸出していた。だが、その後は電力輸入量を1日1万4900メガワット時に大幅拡大し、輸出を取りやめている。

 ウクライナでのエネルギー関連施設の被害拡大は、米国などの軍事支援の停滞で防空能力が低下したことが主因との見方がある。ウクライナ空軍は22日の一斉攻撃で、撃墜できたロシアのミサイルが全体の半数以下だったと明らかにした。米シンクタンク「戦争研究所」は22日の報告で、「ロシアはウクライナ軍の防空ミサイルが不足しているうちにエネルギー供給網を破壊し、相手国の防衛産業の能力低下を狙った可能性がある」と分析している。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は22日の演説で、「ロシアのテロ行為は、防空システムの不足によってのみ可能となる」と強調。支援国に「(追加の武器支援を決断する)政治的意思が必要だ」と訴えた。

 一方、ウクライナ軍も3月12日以降、ロシア国内の10カ所以上の石油精製施設をドローンで越境攻撃している。23日には露中部サマラの精製施設が攻撃を受け、一部の運転を停止。25日には南部ロストフの火力発電所を攻撃し、電力供給を減少させた。

 英国防省はウクライナのドローン攻撃について「自国から約900キロ離れたロシアの施設まで及び、航続距離の長さを示す」と指摘。攻撃で「ロシアの石油精製能力を少なくとも10%低下させた可能性が高い」と分析した。【ブリュッセル宮川裕章】

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