小学生やその保護者が、お金についてオープンに語り合う「キッズ・マネー・スクール」が17日、秋田市で開かれた。全国各地で特殊詐欺の被害が後を絶たないのは「早くお金をためなくては」という焦りが一因とも指摘される。参加者は堅実かつ長期的にお金を蓄える大切さを学んだ。
秋田県内の小学生10人余りと保護者ら、計約25人が参加した。総合金融代理業「KRS」（秋田市）企画部の岡本拓真さんらが、寸劇や模擬の買い物体験を通じ、お金を稼ぐのは大変で仕事をすることでもらえること▽お金には限りがあること▽お金を使う時にはよく考えること――の大切さを子供たちに伝えた。
保護者向けの講義もあり、岡本さんは「子供が金銭的に自立した大人になるには小学生のうちからお金について学び、家族で話し合い、触れる機会をさらに増やすことが必要だ」と強調した。また、子供の教育資金について、幼稚園から高校まで公立、大学も国立に通って仕送りは年間100万円とした場合、1人当たり1000万～2000万円が必要になると推計。保護者は独身～新婚期、また子供の幼少期に計画的に貯蓄を増やすことが必要だと指摘した。
スクールは一般社団法人「日本こどもの生き抜く力育成協会」（大分市）が中心となって各地で無料で開いており、秋田県ではKRSが昨年から定期開催を担っている。最近の物価高や株価上昇、新NISA（少額投資非課税制度）の開始などを背景に、毎回満員の盛況ぶりだという。
岡本さんは「日本ではお金について夫婦や家族で語り合う機会が少なかった。知識不足から貯金不足に陥り、焦りから詐欺に引っかかってしまう例も少なくない。お金は時間をかけて増やすものなので、小さい頃から知識を身につけることが大切。普段から家族でお金に関して気軽に話せる雰囲気づくりを目指してほしい」と話す。
スクールの問い合わせはKRS（018・827・6410）。【工藤哲】
