自民党は17日、第91回党大会を東京都内のホテルで開催した。岸田文雄首相はあいさつで、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた関係議員の処分について「（政治資金収支報告書への）不記載の金額や程度、役職等の議員歴や説明責任の果たし方など状況を総合的に勘案し、厳しく対応していく」と述べ、具体的な基準について初めて言及した。政治資金事件に関係した議員の処分を厳格化する党規律規約などの改正について報告され、党則改正を決定した。
首相は裏金事件について「なぜ当然のルールすら守れなかったのか。緩みやおごりはなかったのか。深い反省の上に信頼回復に向けて、私自身が先頭に立って党改革を断行する」と決意を語った。信頼回復に向け、首相や党幹部が全国を回り、党員らの意見を聞く「政治刷新車座対話」（仮称）を実施すると表明した。
来賓としてあいさつした公明党の山口那津男代表も「連立政権は2012年、政権奪還をして以来、最大の試練に直面している」と危機感を示し、裏金問題に関係する議員がさらに説明責任を果たすよう求めた。
一方、首相は外交安全保障に関しては「激動する国際社会に対応できるのは、自公の安定した連立政権以外にはない」と強調。「憲法観も安全保障観もバラバラの野党に任せるわけには絶対にいかない」と訴えた。賃上げが進み、日経平均株価が史上最高値を更新したことに触れ「勝負の年だ。30年間続いたデフレ志向、縮み志向と完全に決別するため、手を緩めるわけにはいかない」と指摘した。憲法改正を巡っては「総裁任期中に実現するとの思いのもと、今年は条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速していく」と意欲を示した。
党規律規約の改正では、政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で有罪が確定するなどした場合、議員も離党勧告か除名の処分にするほか、議員本人が逮捕・起訴された場合の処分を厳格化し、離党勧告か除名にする。党運営の指針「ガバナンスコード」の改正では、派閥の存続と新設を禁止し、政策集団の政治資金パーティーを禁止した。派閥から金と人事を切り離すことで「これまでの『派閥』から脱却し、二度と復活させない」と明記した24年運動方針を採択した。【池田直、竹内望、川口峻】
