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「6度目の正直」でも成功せず スペースワン「めげるわけには」


 「前向きに捉えて、次の挑戦に臨みたい。これで諦めるつもりは全くない」

 スペースワンが発射した小型ロケットが直後に爆発したことを受け、13日午後、和歌山県那智勝浦町のホテルで開かれた記者会見で、豊田正和・同社社長はそう気丈に語った。失敗の理由を問われると「スペースワンとして『失敗』という言葉は使わない」と述べたが、表情は硬かった。

 当初は2021年度に打ち上げるはずだった。新型コロナウイルス禍などで部品調達に遅れが生じ、計4回延期。9日も直前に中止し、今回は「6度目の正直」だった。地元住民も日増しに盛り上がっていただけに、豊田社長は「期待に沿えず、大変申し訳なかった。地元の人たちへの最大の貢献は、次に成功させること。ここでめげるわけにはいかない」と強調した。

 カイロスは4段式で、飛行経路が大きくそれて地上に被害を及ぼさないよう、異常時には各段に仕込まれた自爆用の火薬が自動で作動する機能を備える。今回はそれが正常に作動して安全を保ったとも言えるが、異常の原因が機体の位置や速度だったのか、機器の不具合だったのかなどはまだ分かっていない。

 失敗の原因が分からなければ次号機打ち上げのめどは立てられないため、同社は原因究明を急ピッチで進めることになる。

 阿部耕三執行役員は「民間企業として初めて発射場をゼロからつくり、ロケットの全段新規開発も30年ぶりではないか。お客様も獲得して打ち上げまでいった」と今回の意義を力説。「残るは衛星を軌道投入して、事業を軌道に乗せることだ」と、失敗を糧にする姿勢を見せた。

 一方、今回の失敗で、搭載した衛星は失われた。情報収集衛星の機能を代替できるか実証する内閣官房の小型衛星(重さ約100キロ)で、開発費は約10億円。内閣情報衛星センターの担当者は「結果としては残念。現時点で情報収集能力に影響はない」と話した。【駒木智一、露木陽介】

「今度こそはと期待」

 和歌山県串本町の発射場「スペースポート紀伊」近くの2カ所に設置された公式見学場には計約1400人が訪れ、打ち上げを見守った。

 見学場の一つ、田原海水浴場からは大音響の後にモクモクと白煙が上がるのが見え、「打ち上がった」と大歓声が上がった。しかし、しばらくして「失敗」がアナウンスされると、一転して大きなため息へと変わった。延期になった9日にも来場していた同県湯浅町の農業、千川和宏さん(65)は「今度こそはと期待していたのですごく残念」と肩を落とした。

 串本町の田嶋勝正町長は「ロケットと一体となった町づくりをすると決めたので、これからも全面的にバックアップしていく。必ずやこの地からカイロスの産声を上げさせる」と声を振り絞った。

 和歌山県議会の予算特別委員会を中断し、大型テレビで発射中継を見守った岸本周平知事は、爆発して炎上するロケットの映像を見つめ、しばらくぼうぜんとしていた。その後、記者団に「失敗をばねに成功することを期待し、応援していきたい」と話した。【松田学、加藤敦久】

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