starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「助けられず、郁香に謝りたい」 高3給食死亡事故 県に賠償命令


 2016年に大分県別府市の県立南石垣支援学校で、高等部3年の林郁香(ふみか)さん(当時17歳)が給食を喉に詰まらせて死亡した事故を巡り、遺族が県を相手取って3726万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大分地裁は1日、県に計660万円の支払いを命じた。石村智裁判長は「担任の見守り義務違反と林さんの死亡には因果関係が認められる」と述べた。

 判決などによると、林さんは16年9月15日の給食中に倒れ、搬送先の病院で同年10月2日に死亡した。重度の知的障害があった林さんには、食べ物をよくかまずにのみ込む傾向があり、学校側は給食時に見守りをつけていた。だが、事故発生時は担任の教職員が別の事情でその場を離れ、林さんを誰も見守っていなかった。

 石村裁判長は、特別支援学校の教職員は給食時の窒息や誤えんが重大事故につながる可能性を踏まえ、「林さんの動静を見守り、窒息などを防止すべき義務があった」と指摘。林さんがいた場所には他の職員もいたことから「担任は(その場を離れる際に)他の職員に見守るよう依頼すべきで、それは可能かつ容易であった」とした。そうした配慮をせず、林さんの元を離れた担任の義務違反を認め、死亡についての責任が県にあると判断した。

 訴訟は、林さんの両親らが19年10月、県と当時の教職員4人を相手取り、提訴。県側は、林さんには食事を喉に詰まらせる危険性はなく、窒息を防止する目的で常に見守りをする注意義務はなかったなどと主張した。

 23年3月の訴訟の結審後、地裁は両者に和解を打診。これを受け、教職員4人は遺族側の主張を認め、謝罪することで、和解が成立した。一方、県とは主張が対立したままで、和解は成立しなかった。

 判決後の記者会見で林さんの母、香織さん(54)は「先生たちの認識が足りず、正しい対応ができていなかったことが認められたと郁香に伝えたい。助けることができず、郁香に謝りたい」と涙ながらに語った。

 県は判決後、岡本天津男(てつお)教育長名で「判決では県の責任が問われており、亡くなられた林さん、ご両親、ご家族におわび申し上げる。今後の対応については、判決内容を十分に検討し、判断する」とコメントを出した。【井土映美、樋口岳大】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.