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輪島塗職人、失業給付受けられず 雇用関係なく「収入途絶える」


 能登半島地震の被災地では、休業が続く事業所が多く、働く人たちのなりわい再建が見通せない状況が続いている。

 石川県輪島市の伝統工芸・輪島塗の職人、丸井聡さん(44)は漆器につやを出す工程「呂色(ろいろ)」が専門だ。地震で自宅兼工房が損壊し、新たな仕事の受注もない。「昨年末までの仕事分の支払いは2月までに受け取ったが、この先は収入が途絶えてしまう」とため息をつく。

 県によると、今回の地震で「輪島漆器商工業協同組合」の103社の大半で、工房や事務所が損傷したり焼失したりしたという。輪島塗は「塗師屋(ぬしや)」と呼ばれる製造・販売元を頂点に、100以上ともされる工程を専門の職人が分業で支える。職人は個人経営など、直接の雇用関係がない人も多い。丸井さんもその一人で、失業給付などは受けられない。雇用統計では把握されにくい「失業者」だ。

 両親と妻、子ども3人の7人暮らし。妻は看護師だが、世帯収入は実質的に半減した。リフォームローンを抱える上、今回の地震で自宅兼工房は基礎が損傷した。屋根の一部も落ち、ブルーシートでしのいでいるが、雨漏りで天井にはしみが浮かぶ。漆を乾かす「しめ風呂」は損傷した壁を段ボールで塞いでいる。温度や湿度の管理が難しく、作業にも影響がある。「工房だけを直すか、家ごと直すか」と頭を悩ませる。

 地震直後、めちゃくちゃに散らかった自宅の様子に「この先も輪島に住めるのかな」と思ったが、再建に向けて立ち上がろうとしている。岸田文雄首相が2月に被災地を訪れた際には、対話集会に出席し、輪島塗職人向けの相談窓口開設を訴えた。「お金が出ていくばかり。それでも前に進む方法を考えたい」と話す。

 被災地のハローワークには連日、相談者が訪れる。輪島市の女性(62)は地震前、市内の介護施設でパート勤務をしていたが、雇用保険の対象外だった。夫の勤務先も休業中で、被災した家の修復費用など、悩みは尽きない。「男性向けの肉体労働の求人はあるが、私ができるような仕事がない。この先、どうやって暮らしていけばいいのか」と途方に暮れる。【柴山雄太、大野航太郎】

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