米国で競売の「広島の被爆腕時計」、総額468万円で落札

　米東部マサチューセッツ州のオークション会社が競売にかけた、1945年8月6日に米軍が広島に原子爆弾を投下した際に地上で被爆したとされる腕時計が22日夜、手数料を含めて3万1113ドル（約468万円）で落札された。この会社が23日に発表した。

　腕時計自体の落札額は2万4890ドルだった。競売にかけた「RRオークション」社によると、この腕時計は戦後、支援物資の配布などのために広島へ派遣された英国の兵士が広島県産業奨励館（現在の原爆ドーム）で発見し、持ち帰ったとされる。米爆撃機「エノラ・ゲイ」が原爆を投下した午前8時15分で針が止まっている。

　同社は声明で「遺品を競売にかける意義は、それが持つ物語を保存し、歴史の教訓が忘れられないようにすることにある」と強調。「この腕時計は、（人類の）歴史が永遠に変わった、その瞬間を示している」と述べた。

　競売された腕時計を巡っては、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」（ICAN）が、歴史を伝える遺品の売買で「個人が売却益を得ることを懸念する」として、出品リストから外すことなどを求めていた。落札者は匿名を希望しているという。【ニューヨーク中村聡也】