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徳島県立高のタブレット「1人1台」に暗雲 新学期前に故障急増


 徳島県立高校などに配備されたタブレット端末に2023年夏から故障が続出している問題で、県は新年度に向けて代替機の調達を進めている。しかしここへきて、これまでの内蔵電池膨張に加え、新たに駆動時間が極端に短くなるトラブルも相次いでいる。想定を上回るペースで故障機が増え続けており、新学期からの「1人1台」態勢に暗雲が垂れこめる。

 県教育委員会は各県立学校に原則として週1回、故障台数の報告を求めている。1月下旬に複数の学校から「バッテリーで動く時間が非常に短い端末があり、『故障』に含めるべきか」という問い合わせがあった。電池の劣化が広く発生している可能性が浮上したため、県教委は同31日、満充電の状態から1時間駆動できない端末も「故障」として報告するよう各校に通知した。

 その結果、2月5日に報告された故障端末数は1226台に上り、電池駆動時間が短い端末が942台もあった。電池膨張は241台、落下などが43台だった。同19日の県教委の調査時には、昨年からの故障台数は累計8883台に膨れ上がった。導入時に調達した1万6500台の53%を超え、予備機を活用しても「1人1台」には7230台足りない。生徒の約半数は手元に端末がない状況となっている。

 県教委は20年度の端末調達時、電池の駆動時間について「8時間以上」と仕様書で求めた。このため、通信会社幹部らを交えて端末の調達方法などを検討する「徳島県教育DX加速化委員会」(委員長・伊藤大輔副知事)が13日に県庁で急きょ開かれた。県は問題発覚後に7000台の新規調達を進めているが、端末4000台を追加調達する方針が決まった。ただ、追加調達分が県へ納品されるのは6月の見通しで、設定などを終えて生徒が使用できるのは7月にずれ込む。そこで、駆動時間の短い故障端末について、モバイルバッテリーなどを活用できないか探ることになった。

 委員会後、委員長の伊藤副知事は「予算措置が必要なら定例県議会に補正予算案を提案することもある」と含みを持たせており、県教委も近く何らかの対応策を打ち出すとみられる。

 大量故障問題について、昨年7月に一部の学校から報告を受けた県教委が調査して状況を把握したのは、夏休みを挟んだ約2カ月後の9月下旬だった。初動対応が後手に回ったこともあり、昨年10月には、後藤田正純知事が「教育委員会だけに任せておけない」などと発言し、知事部局が対応に乗り出した経緯がある。

 「1人1台」態勢を掲げて約8億円の公費を費やしたタブレット端末。導入3年目で早くも現場の生徒や教員は不便を余儀なくされており、信頼が失われつつある県教委は失敗が許されない状況となっている。【植松晃一】

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