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高校受験で生理は「追試対象外」 通知後、11府県の対応は?


 生理は「追試の対象外」と回答した自治体は今春、どうする?

 公立高入試と月経(生理)が重なった生徒への対応について、毎日新聞が2023年9月、全国の教育委員会に対し、生理に伴う体調不良は「追試」の対象に含まれるかどうかについて尋ねたところ、全47都道府県で11府県が「対象外」としていた。

 一方、文部科学省は12月、「生理で追試可能」とする通知を全国の都道府県に出した。11府県に現在の中学3年生が受験する今春の対応について改めて聞いた。

23年9月に毎日新聞の全国調査

 追試は病気や事故などで入試を受けられなくなった受験生に別途実施される試験。毎日新聞は23年9月、全国の教育委員会に対し、公立高入試の「追試」の対象に、生理による体調不良が含まれるかどうかについて尋ねた。

 そのうち15道府県が生理に伴う体調不良が追試の「対象になる」と回答。一方、11府県が「対象外」、21都県は態度を明確にしない「その他」と回答していた=図表。

 「対象外」としていたのは、栃木、群馬、千葉、長野、大阪、兵庫、岡山、広島、大分、宮崎、沖縄の11府県だった。毎日新聞は24年1~2月、この11府県に改めて取材した。

文科省通知後10府県は「生理も対象」

 宮崎を除く10府県は「生理による体調不良も追試の対象とする」と回答した。兵庫県などは入試の要項を変更した。追検査の受検資格に「その他やむを得ない理由」を追記し生理に伴う病的な体調不良などを例示した。

 広島県は追試は可能とする一方、「原則は別室や保健室で受験してもらうが、それでも欠席せざるを得ない場合」としている。

 宮崎県は元々、追試の制度がない。そのため、各県立高校の校長に判断を委ねた。入試要項では「やむを得ない事情で検査を受けることができず、その理由が出身中学校長によって証明される時は志願先の高校長がその検査に代わる適切な措置をとることができる」と定めている。生理による体調不良も「やむを得ない事情」に含まれるとし、県内の中学校などに周知した。

 書類のみの審査や別日の面接などを想定しているという。

提出書類、対応は自治体ごとにばらつき

 追試を可能とした10府県には、受験に必要な手続き(提出書類)について尋ねた。医師による診断書を原則、求めたのが4県(兵庫、岡山、広島、沖縄)▽診断書、または出身中学の校長による証明が1県(千葉)▽中学校長や教育委員会による判断・証明が5府県(栃木、群馬、長野、大阪、大分)――だった。

 沖縄県は試験日当日に病院を受診し、診断書を発行してもらう必要がある。教育委員会は各中学校に「当日に発生した症状のみで生理痛や月経前症候群(PMS)との診断をするのは困難な場合があり、対象となり得る生徒は普段から病院を受診しておく必要がある」と注意を促し、受験生への周知を呼びかけた。

 兵庫県は当日受診できない可能性も考慮し、試験日より前に発行した診断書でも追試は可能とした。

 一方、診断書の提出は義務づけないとした大分県教委の担当者は「体調不良の程度は本人しか分からない。当日の体調を聞き取り、これまでの学校生活の中での状況を踏まえて、校長の責任で判断してもらう」と話した。 同様に診断書を求めない栃木県教委の担当者は「基本的には『みんなと一緒に本試験を受けたい』という前提の下、どうしても当日の受験が難しい生徒については自己申告を信じる。出身中学の聞き取りを基に県教委が追試の対象にするか判断する」と話した。

 診断書を巡っては、10府県にかかわらず全国の自治体で対応差がある状況だ。

専門家「入試にかかわらず理解を深めて」

 ジェンダーや性教育に詳しい小貫大輔・東海大教授は「文科省の通知を機に教育を受ける機会の確保にたどり着いたのは一つの成果」と評価する。

 一方で、学校関係者や教育委員会に対しては「子どもの利益を左右する重要な役割を課されており、生理を取り巻く状況についてさらに学び、理解を深めていく責任がある」と言及。家庭やその他の事情で病院での受診をためらいがちな生徒がいることへの配慮も呼びかけた。また小貫教授は「入試にかかわらず、男女一緒に互いの体について学び、壁をなくして相互理解ができるような性教育を広めてほしい」と話した。【宮川佐知子】

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