starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

退任の京都市長、「政治とカネ」に本音 財政再建、「前進」と自負


 京都市の門川大作市長(73)が、24日に退任する。市政史上最長に並ぶ4期16年務め、慢性的な財政難に加え、観光客集中による「観光公害」、地価高騰に伴う人口流出など古都の課題に向き合ってきた。自らの成果と残された課題、松井孝治新市長(63)への期待を聞いた。【千葉紀和】

新市長「無関係」

 ■政治とカネ

 ――市長選を振り返って。

 今日は本音を言いますわ。「政治とカネ」の問題に対する国民の厳しい批判は当然やけど、京都市政とも松井さんとも関係ない。(肉薄した共産支援候補が)それを真っ正面に立てて批判するのはねえ。国会の枠組みで、与野党相乗りと表現するのも間違い。共産党は国会では大きくなくても京都市会では第1党を争っている。

 ――市長選で「行財政改革が不十分」と指摘された。

 私は財政を全然悪化させてへん。市長就任前年の2007年度から22年度までに一般会計で市債残高は1517億円、15・5%も減らした。市財政が厳しい理由は、全国では昭和の時代に都市整備をやったが、京都市は当時の政治状況からできず平成の時代に始めたこと。低成長、デフレの下で市営地下鉄東西線でも1000億円以上の借金を返さなあかんから厳しいが、着実に返している。

 ――批判は当たらないと。

 市長就任時にリーマン・ショック。4期目は新型コロナ禍。非常に厳しい状況でも福祉や教育、子育て支援、安心・安全は維持、充実させた。職員を削減し、給与カットも任期中に3回行った。10年以上かかると言われた行財政改革を2年で達成し、22年度決算は過去最高の77億円の黒字。客観的には大きく前進している。

 ―財政の反省点は。

 地方交付税について、全国的な政治運動として(削減反対に)取り組むべきだった。任期中、国の三位一体改革で地方交付税が47%、614億円も減らされた。京都市は74%が森林で2900の橋がある。学生さんが人口の1割を超える。(広い市域や就労者の割合など)財政的に困難な課題がある。

 ――交付税額は(総額、1人当たりとも)全国20政令市の中で多い。

 金額やない。都市の特性を見なあかん。例えば、うちは市立芸術大も市立高校も持っている。

数より質を重視

 ■観光対策

 ――観光対策の自己評価と反省点は。

 観光客5000万人を達成し、次は6000万人の声もあったが、数ではなく質を高めようとした。観光振興は京都経済の豊かさにつながる。観光消費額で年1兆円の目標を作り、コロナ禍前は1兆2300億円までいった。観光客の分散に力を入れ、最も多い11月と少ない2月との差を3・6倍から1・3倍に縮小した。混雑も避けられ、事業者が季節労働から通年雇用になる。できることは最大限やったが、一部の混雑やマナーはさらなる取り組みの強化が必要だ。

 ――自身が導入した宿泊税は宿泊料に応じて1人当たり200~1000円。上限額は全国で最も高いが、松井新市長はさらに引き上げる考えを示している。

 上げるのは良いこと。ゴミの整理、インフラ整備は主に京都市民の税金で賄っており、観光客からもしっかりもらっていく。今は税収の75%が200円の人から。そこをぐっと上げる。富裕層は思い切り上げたらええ。でも基本は理解を得て皆からもらう。

 ――人口流出については。

 流出には二つの要因がある。一つは、規制がきつくて若い人が入手しやすい住居の提供が不十分だった。もう一つは、産業用地やオフィスビルができず、働く場が創出できなかった。ホテル誘致で人口が減ったと言われるが間違い。一番建ったのは中京、下京、南の3区だが人口は増えている。4期目に都市計画を見直し、これから成果が出てくる。松井さんの下で異次元の取り組みを進めてほしい。

評価、歴史が判断

 ■16年の総括

 ――4期16年の自己採点を。

 世の中全体が今の結果を求める傾向にあるが、文化庁の移転や安全安心対策は10年後、20年後の評価。将来世代や歴史家に判断していただくことだ。

 ――退任後は。

 一市民として皆さんのお役に立てることをしていきたい。(犯罪や非行をした人の立ち直りを支える)保護司になろうと思ったが、年齢制限がある。生家が金光教の小さな教会やから、修行して病や孤立などに悩む人々のカウンセリングにも取り組みたい。

 ――市民に一言。

 「課題も解決策も現場にある」と、ひたすら現場を訪ね、厳しい意見も熱い心もいただきながら取り組んできた。さまざまな課題が大きく前進したのは、全て市民の皆さんの理解と協力のたまもの。松井新市長のもとで京都がさらに発展していくことを願っている。

門川市政16年の主な出来事

2008年 2月 京都市長に初当選

2009年 5月 京都市の08年の観光客数が5000万人突破と発表

      9月 「京都祇園祭の山鉾巡行」がユネスコ無形文化遺産に

2012年 3月 京都マラソン初開催

2013年12月 「和食」がユネスコ無形文化遺産に

2014年 9月 看板などを規制する「屋外広告物条例」完全施行

2015年10月 四条通の歩道拡幅事業完了

2016年10月 ホテル誘致方針策定

2018年10月 宿泊税導入

2021年 8月 敬老乗車証などの値上げ含む行財政改革計画発表

2022年 3月 別荘・空き家税条例が可決

2023年 3月 文化庁が京都移転

      4月 新景観政策を見直し、一部地域の建物高さ規制を緩和

      8月 22年度決算で22年ぶりの黒字達成と発表

     10月 市立芸術大がJR京都駅東側に移転

2024年 2月 4期目任期満了で市長退任

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.