顔の脂肪吸引手術後に内出血した男性に的確な指示をせず、死亡させたとして、大阪府警は15日、全国で美容整形外科クリニックを展開する「HAAB×DREAM BEAUTY CLINIC」に勤務していた男性医師（37）＝東京都渋谷区＝を業務上過失致死の疑いで書類送検した。検察に起訴の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。
書類送検容疑は2023年4月29日、大阪市北区のクリニックで、北九州市に住む男性（当時48歳）のほおやあご下の脂肪を吸引する手術を執刀。術後、手術に伴う出血で男性の喉が腫れて窒息死する恐れを認識できたのに、救急搬送などの医療措置を受けるよう指示する義務を怠り、翌30日に窒息死させたとしている。
「呼吸が苦しい」訴えたが…
捜査1課によると、男性は29日夜～30日朝に計5回、腫れが大きくなっていく顔の写真と「呼吸が苦しい」などのメッセージを医師に送っていた。医師は「内出血は必ず引く」などと返信し、同課の任意の調べに「呼吸が苦しそうな様子はなく、緊急性はないと思った」などと容疑を否認したという。医師は20年からクリニックで働き、500件以上の美容整形手術の経験があるが、24年1月に退職した。
ホームページによると、クリニックは東京や横浜、名古屋などでも営業している。【洪玟香、林みづき】
