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もう辞めたい…自治体職員も被災者 悲鳴あげる心身 能登半島地震


 能登半島地震の発生からまもなく1カ月半。住民の支援や復旧の業務にあたる被災自治体の職員から「このままでは倒れてしまう」と悲鳴が上がっている。職員の多くは自らも被災しており、心身の負担を減らすための対策が急がれる。

発生1カ月半 自宅も片付けられず

 9日時点で8人が亡くなり、住宅約5000棟の損壊が判明した石川県能登町。内陸部にある柳田体育館で8日、同町企画財政課職員の多田利洋さん(48)が支援物資の入った段ボール箱に囲まれていた。都道府県などから派遣された応援職員に指示し、カップ麺や飲料水、消毒液などを配布先ごとに仕分けていく。「2月に入って週1日だけ休めるようになりました。自宅に帰っても片付ける気が起きず、地震発生当時のまま散らかっています」

 避難所を運営する業務も交代で回ってきて、夜勤がある。建物の被災状況の調査は原則として応援職員が担うが、能登町職員が道案内する必要があるという。「避難所から出勤したり、役場に寝泊まりしたりする職員もいる。自分はまだ良い方」と多田さんは話す。

 別の女性職員(40)は子どもを祖父母宅に預け、食器棚が倒れたままの自宅から職場に通う。地震直後は気持ちがたかぶっていたが、最近は先行きが見通せず落ち込むこともある。「生活環境や子どもの教育を考えると、家族で転居した方がいいのかもしれない」。退職という選択肢が頭をよぎっている。

看護師4分の1が「退職」

 実際に退職に向けた動きも出ている。輪島市唯一の総合病院、市立輪島病院(175床)では看護師約120人のうち約30人が近く退職する意向を示している。河崎国幸事務部長によると、多くは20~40代の子育て世代だ。病院は救急対応や患者を転院させる業務などに追われてきた。

 河崎さんの1月の時間外労働は過労死ライン(直近1カ月で100時間以上、直近2~6カ月で平均80時間以上)を超える約200時間に上るという。「今は市外に避難している人が多く、患者数が少ないので何とか持ちこたえているが、通常の診療機能を維持するには危機的だ」と訴える。

 避難所でボランティア活動に取り組む男性はオンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で公務員らの負担軽減を求める活動を始め、10日時点で3万2000筆を突破。2月中に石川県の馳浩知事に改善を要望するという。

 過去の災害で被災自治体の職員が休職したり精神疾患を発症したりするケースが相次いだのを受け、総務省は2018年、被災自治体ごとに支援を担当する都道府県や政令市を決める「対口(たいこう)支援(カウンターパート支援)」の制度を設け、同年の西日本豪雨などで活用。能登半島地震では8日時点で計1160人が被災地入りしている。

 被災自治体の支援に詳しい防災科学技術研究所の宇田川真之特別研究員は「地元の管理職の業務など代替できない分野はあるだろうが、それ以外は応援職員にどんどん任せればいい。運送会社や警備会社など民間への業務委託も検討すべきだ」と話す。【黒川晋史】

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