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福島県立博物館などの研究グループは31日、中生代ジュラ紀と白亜紀の境界(約1億4500万年前)付近に生息していたオウムガイ類の化石2標本が同県南相馬市で見つかり、ともに国内で初めて確認された種類だったと発表した。研究グループは「太平洋西部のオウムガイ類の進化史を解明する大きな手がかりになる」としている。
同館、同市博物館、北海道三笠市立博物館の共同研究で、27日に宮城県で開かれた日本古生物学会で発表された。
確認された種類と年代は、「シュードノーチラス属」が約1億4500万〜約1億3260万年前、「パラセノセラス属」が約1億5480万〜約1億4500万年前。いずれも南相馬市鹿島区の山中の崖などで2022~23年に見つかり、三笠市立博物館が分析を進めた。
発見者は東北大の地学ゼミナールの鈴木颯一郎さんと、地元住民で「相馬中村層群研究会」の西夏輝さん。2人の名前にちなみ、シュードノーチラス属が鈴木標本、パラセノセラス属が西標本と名付けられた。
県立博物館によると、「生きている化石」として知られるオウムガイ類は中生代ジュラ紀に現在の欧州や北アフリカ周辺の海で繁栄し、太平洋西部ではほとんど発見されていない。続く白亜紀には太平洋西部の化石記録が増えるため、ジュラ紀と白亜紀の境界期以降に移ってきた可能性があるという。
境界期の国内発見例は過去に南相馬と福井、大分両県の3例しかなく、今回が貴重な4、5例目となった。また、鈴木標本は直径が312・7ミリあり、国内の中生代のオウムガイ類化石として最大級の大きさだという。
鈴木標本は県立博物館、西標本は南相馬市博物館の所蔵で、各館で2月1日から展示される。【尾崎修二】