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美術品に「引っ越しラベル」じか貼り 大阪府、ずさん管理6年の代償


 「美術作品に直接ステッカーが貼られている」

 大阪府が公表した資料には、赤茶色にさびた作品の写真とともに、目を疑うような言葉が記されていた。

 所蔵する美術作品を地下駐車場に置くなど不適切に扱った問題で、府は30日、作品の活用や保全を検討する専門家チームの中間報告を公表した。中間報告では、府が咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)の地下駐車場に6年間も置いていた彫刻105点について、さびやほこりなど「保管環境が要因と思われる劣化」があったと指摘した。

 ステッカーをはがすと、その部分は周りと比べて、さびが少なかったという。温湿度の変化も調べた専門家は「(作品のさびは)2017年以降急激に進行したと考えられ、地下3階では保管すべきではない」と結論づけた。

 府は17年、咲洲庁舎に民間施設の入居を進めるため、10階にあった105点を地下3階の駐車場に移動させた。23年7月、毎日新聞の報道で、作品がむき出しのまま置かれたり、ビニールシートをかけられたりしているなど、ずさんな管理が明るみに出た。

 府の公表資料によると、現地調査は23年9月13、14日に実施。府の依頼を受けた黒川弘毅・武蔵野美術大名誉教授と彫刻家の山崎哲郎さんが行った。

 ステッカーは移動時に貼られたとみられ、他にも複数の種類の粘着テープや「引っ越しラベル」が作品の目立つ位置に直接貼られていた。はがすと粘着剤が作品の表面にくっついてしまう状態だった。さらに、作品には移動で生じたとみられる表面の傷や破損も見られたという。

人工島の地下 温湿度変動大きく

 2人が調べたところ、庁舎の地下駐車場は温湿度の変動が大きく、さびが発生しやすい環境だった。

 調査結果によると、14日の午前9時15分ごろ、地下駐車場の複数箇所で測定したところ、気温は27・4~28・4度、湿度は73~76%だった。外気温が上昇した45分後、地下の気温も28・8~30・3度に上がり、逆に湿度は62~70%へ下がった。

 つまり、外気温の変化がすぐに地下に影響することを示しており、「冬季の変動は夏季より大きいと思われる」と指摘した。

 さらに、咲洲庁舎が人工島にあることも、作品にダメージを与えたおそれがある。外気の吹き出しダクトの近くに置かれた作品は、特にさびが目立つことが判明した。2人は黄色みを帯びたさびについて「塩素(海塩)の影響による可能性がある」と判断した。

 府は17年の段階でこの場所を選んだことについて、比較的温湿度が一定していると説明していた。それが専門家に覆された形だ。【山田夢留】

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