埼玉県久喜市の梅田修一市長は29日、市議会全員協議会で、2025年度以降の開催を目指していたフルマラソン大会について「行わないことにした」と表明した。開催経費の増大や各地の大会が定員割れしている現状を挙げ、「苦渋の決断」と述べた。当初は24年度開催を想定していたが、コース選定に時間がかかるとして延期していた。
大会は、自身も市民ランナーで「健幸・スポーツ都市」を宣言するなどスポーツ振興に力を入れる梅田市長が、22年4月の再選時に公約に掲げていた。ただ、ハーフマラソン中心の「よろこびのまち久喜マラソン大会」が既にあることや、市の人口規模などから、「市民の理解を得られない」と批判する声も一部の市議らから上がっていた。
市によると、菖蒲地区の見沼代用水沿いなどを走るコースを選定。23年10月から交通規制を担当する県警と協議したが、渋滞の懸念などから迂回(うかい)路の設定を求められた。市は参加者5000人規模で、開催に約1億1000万円かかると試算したが、警備費などの増大が避けられない見通しになったという。
また、コロナ禍以降は全国のマラソン大会で参加者が減少。3月開催の「よろこびのまち久喜マラソン大会」も、申し込みが定員の約6割の3300人弱にとどまっている。
市は22年度、コース選定費など約44万円を支出。23年度は774万円の予算を組み、計画を進めていた。今後、契約業者にどこまで支払うか協議する。
梅田市長は「賛成、反対で市を二分するような事態になるのは本意ではない。『市民ランナーの聖地』としての取り組み自体は今後も継続したい」と述べた。今後は、代替のスポーツイベントの開催に取り組むという。【萩原佳孝】