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15分で1万8000円の居酒屋 横行する「プチぼったくり」の実態


 鳥貴族の系列店を装って店に誘導したとして、飲食店経営者や客引き(キャッチ)が逮捕された事件を巡っては、問題とされている店で「ぼったくり被害に遭った」という投稿がネット交流サービス(SNS)上でも多く見つかった。

「トリキは混んでますよ」の声かけで誘い

 「居酒屋ですか」。1月下旬の午後6時過ぎ、記者が歌舞伎町(東京都新宿区)の「セントラルロード」に足を踏み入れると、5分もしないうちに、男性に話しかけられた。「ちょっと考えます」と断ると、今度は別の男性から「トリキ(鳥貴族)はどうですか」と引き留められた。

 その男性は「一回ストップ」と記者の行く手をふさぐように立ち、「どこも混んでるので、自分で探すとたらい回しにされます」「カウンターがいいですか。たばこは吸いますか」と矢継ぎ早に質問してきた。

 「鳥貴族に行けますか」。そう尋ねると、男性はスマートフォンで何か問い合わせるような様子を見せた後、「鳥貴族は15~20分待つので、同じグループで焼き鳥や海鮮なんでもある居酒屋をご案内します」と持ちかけてきた。

 案内されたのは、近くのビル5階にある居酒屋。入り口の外からのぞくと、店内は客で埋まっている様子で、レジの横に「店内撮影禁止」「撮影が発覚した場合、1万円いただきます」と張り紙があった。

 記者は入店しなかったが、都外から遊びに来た会社員の女性は2023年12月、同じ店で15分間過ごし、2万円近く払うことになった。友人と一緒にいるところで声をかけられ、「鳥貴族は1時間待ち」と案内されたという。

 女性によると、入店後に店員から「2品は必ず頼まなければいけない」と説明され、焼き鳥の盛り合わせと塩キャベツを注文したという。店の雰囲気や席の狭さに違和感を覚え、店名をスマートフォンで検索したところ、「ぼったくり」の書き込みが目に入った。

 焼き鳥を食べてすぐに店を出ようとした。そこで示された料金明細には、注文した覚えのない「プレミアム飲み放題7960円」や「お通し2000円」「週末料金2000円」などが加算されていた。抗議すると、弁護士のものという名刺を示された。そして、なぜかさらに会計が増え、結局1万8874円を支払うことになった。

 女性は翌日も東京で買い物などをするつもりだったが、気がめいり予定を切り上げて帰宅したという。【林田奈々、加藤昌平】

鳥貴族も注意喚起

 ぼったくり被害や暴力団による不当要求対策に詳しい中村剛弁護士(東京弁護士会)は「10年ほど前はキャバクラや風俗店で100万円単位でのぼったくり行為が横行していた。一方、近年は居酒屋などでの比較的少額な『プチぼったくり』が目立つようになった」と指摘する。

 そのうえで「ぼったくり店と結託したキャッチ(客引き)は暴力団の資金源になっている可能性が高い。被害に遭わないためには、まずはキャッチについて行かないこと。一度支払うと被害回復は難しい。不当な支払いを要求されたら、その場で警察に相談してほしい」と話した。

 系列店を装った客引き被害が起きていることについて、鳥貴族ホールディングスは毎日新聞の取材に「『焼鳥屋 鳥貴族』では、客引き行為は一切行っておりません。客引き行為自体が条例で禁止されていることも多く、お客様におかれましても十分にご注意いただきたく存じます」とコメントした。【林田奈々】

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