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諏訪湖の「御神渡り」で異例の事態 連日心待ちも「厳しい状況」


 諏訪湖(長野県)で厳冬期、湖面の氷が割れてせり上がり筋状に湖を横断する自然現象「御神渡(おみわた)り」の発生を巡り、今季の最終判断をする2月4日の立春まであと1週間となった。

 判定と神事を執り行う八剱(やつるぎ)神社(諏訪市)の宮坂清宮司(73)や氏子総代らは連日、諏訪市で湖面の観察をしている。

 現地の観測で、28日朝は気温が氷点下6・8度、湖の水温は2・6度だった。朝の気温は26日が氷点下9・0度、27日も同8・0度と3日連続で冷え込んだが、それでも28日は湖岸付近に氷が張る程度で、その厚さも1センチほどにとどまった。

 今季は寒さが長続きせず水温も下がらないため、御神渡り発生の第一歩である全面結氷にさえほど遠い状況。26日は薄氷が沖合50メートル付近まで張ったが、関係者が湖面の氷の上に立って観察することが一度もできない異例の事態となっている。

 過去10年で御神渡り拝観式ができたのは2018年の1回にとどまる。宮坂宮司は28日の観察後に「寒中の湖に氷がないのは、ちょっと厳しい状況。それでも立春まで、期待を持って観察を続けたい」と話した。【宮坂一則】

連日の観察、広がる交流の場

 発生の有無が毎冬の話題となる諏訪湖の御神渡り。一方で、まったく氷のない時であっても寒空の下で連日早朝に繰り返される湖面観察にも関心が集まるようになってきた。関係者のほか県内外の常連や観光客らが足を運び、現地で交流の輪が広がっている。

 八剱神社による湖面観察は小寒から立春までの30日間で、今年は6日に始まった。関係者は毎朝、定点の舟渡川河口(諏訪市豊田)に出向き、午前6時半から湖面の氷を確認して気温と水温を記録する。

 観察期間の終盤を迎えた日曜日の28日は、18人の氏子総代を合わせると約50人が様子を見ようと集まった。

 料理教室を主宰する同県辰野町の小松香緒里さん(60)は観察が一段落した後、集まった人たちにポットに入れたコーヒーを差し入れた。「一緒に御神渡り出現を期待する皆さんに、少しでも温まってもらえたら」と、毎朝いれたてを多い時には50人分用意する。

 宮坂清宮司は、凍える手に伝わる温かさと冷えた体に染みわたるおいしさに「小松さんの心、人のぬくもりを感じる」と感謝する。

 また美容師で諏訪をテーマにした絵画制作を続ける諏訪市の後藤吉久さんは25日から、観察の現場で御神渡りの小さな美術展を開いている。

 パステル画やアクリル絵の具で描いた作品を、連日1点から数点展示。初日に飾ったのは、青を基調として結氷した湖面に現れた御神渡りと上空にかすんで見える月を描いた作品だった。

 見学から浮かんだイメージを毎日15センチ四方の作品に仕上げており、観察最終日の2月4日にはその30日分と、御神渡りや諏訪の龍神に関する作品を並べて感謝を伝えるという。後藤さんは「御神渡りの出現に期待しながら、心を込めて描いています」と話した。【宮坂一則】

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