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京アニ放火殺人の判決、主文後回し 青葉真司被告への求刑は死刑


 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決公判が25日午前、京都地裁で始まった。増田啓祐裁判長は主文の言い渡しを後に回し、判決理由の朗読から始めた。平成以降で最多の犠牲者を出した放火殺人事件で、裁判員らが導いた結論に注目が集まる。

 検察側は死刑を求刑し、弁護側は無罪を求めている。最大の争点は被告の刑事責任能力の有無や程度。青葉被告は事件当時、精神障害による妄想があり、行動や動機にどのような影響を与えていたのかが焦点となっている。

 検察側は、被告の攻撃的な性格によって起こされた事件とし、妄想の内容は「犯行に及ばなければ自分に危害が及ぶといった差し迫ったものではない」などと指摘。妄想はほとんど影響せずに完全責任能力があったとし、「類例を見ない凄惨(せいさん)な事件」と強調した。

 一方、弁護側は被告の精神障害は重度で「10年以上にわたって妄想の世界の圧倒的な影響を受けていた」と指摘。「事件当時は善悪の区別や行動を制御する能力が失われていた」として、心神喪失状態で刑事責任は問えないと主張している。絞首刑による死刑は残虐で選択すべきではないとも述べた。

 被告は放火に伴う重いやけどから回復し、事件の1年5カ月後に起訴された。起訴状によると、19年7月18日午前、京アニ第1スタジオ(京都市伏見区)にガソリンをまいて火を放ち、社員ら36人を殺害、32人に重軽傷を負わせたとされる。

 23年9月の初公判で、被告は「当時はこうするしかなかった。現在ではやり過ぎたと思っている」と起訴内容を認めた。公判では被告人質問に多くの時間が割かれ、被告は自らの主張について詳述した。

 被告は事件の動機として「京アニに自作の小説が盗用された。京アニが許せなかった」と述べた。事件直前には実行をためらいつつ、過去の放火事件を模倣したと説明。「小説一つでここまでしなければならなかったのか。浅はかだった」と後悔を語り、極刑を受け入れる意向も示した。公判の最終盤には犠牲者の遺族に謝罪する場面もあった。

 公判では刑事訴訟法の規定に基づき、犠牲者19人と負傷者32人の名前が伏せられて審理された。希望した遺族らは被害の深刻さや処罰感情を法廷で直接訴えた。「被告は死をもって償ってほしい」などと厳しい意見が相次いだ。

 審理は143日間と長期にわたり、被告の精神鑑定の内容などを検討する複雑な審理となった。動機や経緯▽刑事責任能力の有無や程度▽量刑――の3段階に分けられ、論点を明確にする仕組みが導入された。

 争点の責任能力については、検察側の中間論告・弁護側の中間弁論が実施され、裁判員らが公判の途中段階で非公開の「中間評議」で協議。量刑を検討する前に判決に向けた一定の結論を出していたとみられる。【久保聡】

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