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「救急隊は邪魔」医師のハラスメント追加調査 鳥取県立中央病院


 鳥取県東部の救急搬送を巡り、鳥取市など1市4町を所管する県東部広域行政管理組合消防局(東部広域消防局)が県立中央病院(同市)の救命救急センターの医師からハラスメント行為を受けたとして、東部地区メディカルコントロール協議会を通じ、病院側に調査を要請している。対象は先月末に退職した1人を含む医師4人による22件で、「一方的に電話を切る」「毛布を床に落とす」などの行為を指摘、病院側は当事者への聞き取りを進めている。消防局は26日を期限として回答を求めていたが、病院側から「精査に時間が必要」との申し入れがあり2月1日に延期した。

 関係者によると、ハラスメント行為は現救命救急センター長が着任した2021年以降に顕在化。22年10月には消防局幹部が廣岡保明院長を訪ね、改善を求めた。これを受け、23年2月にあった県東部地区の救急医療懇談会で廣岡院長が陳謝し、「指導を徹底し、改善を図る」と表明した経緯がある。

 今回の調査は、同センターが先月、救急救命士からの医療行為(特定行為)の指示要請を拒否したことが発端。実際に指示を拒んだ3件のうち1件で、搬送時に救急隊員に対するパワハラ行為があったことが判明。12月26日に開かれた同協議会の会合でも、複数の救急隊の指導救命士から被害の訴えが相次いだことから、病院側に調査を要請した。

 22件は、高圧的な言動のほか、処置を批判したり、隊員を侮辱するような発言が含まれている。消防局によると、これまでに報告された事例は約40件あるといい、「22年1月以降の日時や状況のはっきりしているものに絞って提出した」としている。

 具体的には、「容体の報告や受け入れ要請の電話を一方的に切る」「傷病者宅の毛布はそのままにして、救急隊の毛布だけを床に落とす」「骨盤骨折の患者に使う固定具『サムスリング』を床に投げつけられる」などの行為があったとしている。重度の熱中症の患者の搬送時、ベッド移乗前に嘔吐(おうと)があったため、患者の口元に袋を当てていたところ、「救急隊は邪魔なので帰ってください」と言われた――との証言もあった。

 また、介護施設から高齢者を搬送時、医師から「施設職員の同乗はなぜないのか。誰から情報を聴取したらよいのか」と尋ねられ、隊員が「依頼したが、職員数の都合で同乗できなかった。家族には連絡済みで、すぐに病院に向かってもらうように手配されている」と説明したのに対し、「『職員の同乗がなければ搬送できないと言えばよい』と言われた」との報告もあった。

 病院によると、処置室の記録映像は2カ月程度しか残っておらず、調査は病院幹部による当事者からの聞き取りが中心。消防局の指摘について、廣岡院長は「事実関係については当事者が否定していたり、記憶が曖昧で確認できないものも含まれている。『邪魔』『搬送できない』とは言っていないと聞いている。すべて指摘通りとは考えていない」としたうえで、「調査要請には真摯(しんし)に応じ、電話の録音の文字起こしなども進めている。2月1日には消防局へ結果を回答したうえ、記者会見して公表したい」と話している。【山田泰正、阿部浩之】

知事が院長らと協議

 一連の問題について、鳥取県の平井伸治知事は24日の定例記者会見で、パワハラ行為については廣岡院長らと協議しているとし「(救命救急センター長の処分など)組織的対応を見守っている」とした。その上で、県東部広域行政管理組合管理者の深沢義彦・鳥取市長、鹿田幸人・消防局長らとの協議で「病院側と消防局側の関係の正常化が最も重要。救急医療に穴が開かないように、同様の事象が起こらないように対策を考える」という点で一致していることを明らかにした。【中尾卓英】

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