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京アニ放火殺人25日判決、「妄想」責任能力どう判断 京都地裁


 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決が25日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で言い渡される。死刑を求める検察側に対し、無罪だとする弁護側。精神障害に伴う妄想があった被告の刑事責任能力が争点となっており、裁判員らはどう判断するのか。

 公判で起訴内容を認めた青葉被告は自身の小説を京アニが盗用していると考え、許せなかったと説明。盗用には「闇の人物が関わっている」と述べた。妄想があったこと自体には争いがなく、放火の実行や動機の形成にどれだけ影響したと評価できるかが鍵となっている。

 法廷には青葉被告を精神鑑定した医師2人がそれぞれ出廷した。起訴前に検察側の依頼を受けた医師は、放火を実行したのは被告の性格が主な要因だとして「妄想が言動に著しい影響を及ぼしたとは考えられない」と証言。一方、弁護側の請求で起訴後に地裁が選んだ医師は「小説を盗用されたと思って行動を起こした。妄想は現実の言動にも影響していた」と述べた。

 刑事責任能力についてはこうした専門家の見解を尊重しつつ、裁判員らが結論を導いていくことになる。過去の最高裁決定に基づき、最終的には裁判所に委ねられた「法律判断」とされているためだ。

 責任能力は善悪を判断する「弁識能力」と、その判断に従って行動を抑える「制御能力」を検討していく。被告は公判で、放火の実行前に「良心の呵責(かしゃく)があった」と言及。事件前に現場を下見し、ガソリンを購入する準備行動も明らかになった。

 このうえで検察側は、妄想は被告の攻撃的な性格などを色濃く反映し、その内容も「犯行に及ばなければ自分に危害が及ぶという差し迫ったものではない」と指摘。放火をためらいつつ、自らの意思で実行したとしており、妄想の影響は「限定的」だとした。

 これに対し、弁護側は被告は重度の精神障害だったとし、「10年以上、妄想の世界の圧倒的な影響を受けてきた」と指摘。差し迫った妄想でなくても事件を起こすことはあるとし、「妄想の世界での体験や怒りが善悪の区別や制御能力を失わせた」と述べ、刑事責任は問えないとしている。

 公判の中盤では、裁判員らが責任能力について議論する「中間評議」があり、一定の結論を出したとみられる。検察側、弁護側どちらの主張に信用性があるか。判決で明らかにされる。【久保聡】

死刑判断、被害者数重視

 死刑の選択に当たり、重視される傾向にあるのが被害者の数だ。司法研修所の研究報告(2012年)によると、09年までの30年間に死刑が求刑された殺人事件で、死刑が確定した割合は被害者1人の場合は32%だったが、2人は59%、3人以上は79%に上っており、死刑選択と被害者数に相関関係がみられる。

 36人が死亡した京アニ事件で検察側は「日本の刑事裁判史上、類例を見ない凄惨(せいさん)な事件」と位置づけている。一方で、刑法は刑事責任能力が完全にないと判断すれば「心神喪失」として無罪を言い渡し、著しく低下している場合は「心神耗弱」として刑を減軽するとしている。【久保聡】

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