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日本の食支える「うすくちしょうゆ」 日本一守る産地の心意気


 兵庫が誇るプロ野球・阪神タイガースが昨年、38年ぶりに達成した「アレ」の「アレ」。そう、それはあっぱれめでたい「日本一」。兵庫県内をつぶさに見れば、あるわあるわ「日本一」が。再び頂点を極める願いを込めて、どこにも負けない兵庫の奥深さを探す旅に出かけよう。

 城下町のたたずまいが残る町並みの中にある事業所を訪ねると、しょうゆの甘い香りが鼻をくすぐった。たつの市の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)にある「末廣醬油(すえひろしょうゆ)」。「うすくちしょうゆの発祥の地で造り続ける責任の重さを感じています」。社長の末廣卓也さん(63)は言う。天然醸造のしょうゆを築約100年の醸造蔵で造ってきた。

 日本の食と切っても切れないしょうゆ。中でも、うすくちしょうゆは淡い色合いで食材の持ち味を引き出すのに適している。関西で発展した日本料理に欠かせない。たつの市は国内トップの生産地とされる。

 この地でしょうゆ醸造が始まったのは安土桃山時代、うすくちは江戸時代前期に生まれた。約400年続く伝統は、たつのの風土が育んだ。原材料の小麦や大豆、米は播州平野で産出され、塩は一大生産地の赤穂。市内を貫流する揖保川の伏流水は軟水で鉄分が少なく醸造向きだった。

 末廣醬油は、明治12(1879)年に創業。戦後、生産の機械化、共同化が進む中で、1990年代初めから原料の仕入れから手がける昔ながらの製法を、再び生産の中心に据えた。末廣さんで6代目。従業員14人と小規模ながら、もろみの販売、レストラン向けなどオーダーメードの醸造、輸出にも乗り出し事業を多角化した。「重伝建地区に唯一残った蔵元として、兵庫が誇る地域ブランドであるうすくちの伝統を守りたい」と決意する。市が進める観光振興との連携も模索する。

 「うすくちの味わいをもっと身近にしたい」と語るのは、重伝建地区に事務所を構える「うすくち文化研究所」代表の浅井良昭さん(61)。最大手のヒガシマル醬油の創業家出身で、取締役を務めた。退任後に研究所を設立、オリジナル調味料の開発・販売や料理教室の開催、調理レシピのウェブ公開などを通じうすくちの魅力を消費者にアピールする。

 食生活の変化や核家族化などでしょうゆの消費量は減少傾向にあり、うすくちも例外ではない。昭和初期に60を超えたたつのの事業所も8に。浅井さんは「日本料理でうすくちとこいくちは使い分けられてきた。日本の食文化の中でのうすくちの良さを発祥の地から発信したい」と考えている。【土居和弘】

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