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「今年は良いことあるわい」と笑った妻 初詣30分後、柱の下敷きに


 「初詣の後『お賽銭で3000円も入れたから、今年は良いことあるわい』なんて大笑いしていた。その30分後にこんなことになるなんてね……」。石川県七尾市川尻町の立川康則さん(64)は、1日の能登半島地震で倒壊した自宅の下敷きになって亡くなった妻、ゆき子さん(56)について、こう話した。

 遠い親戚同士だった2人は結婚して35年。康則さんの母、一子(かずこ)さん(88)と3人暮らしだった。毎年正月2日は、3人の娘や孫らが帰省してにぎやかに新年を祝うのが恒例。今年も10人以上が集まる予定で、1日は振る舞うおせちを一子さんと2人できれいにお重へ詰めた後、午後3時半過ぎ、近所の神社へ初詣に行った。自宅に戻って一子さんと2人でテレビを見ていた同4時10分、大きな揺れが襲い、自宅が崩れた。

 玄関にいた康則さんが外に出た後、2度目の大きな揺れで自宅の屋根が完全に落ちていた。一子さんはがれきの下に体が半分見えていて、近所の人を呼んですぐに助け出した。

 だが、ゆき子さんの声がしない。「ゆきちゃん、ゆきちゃん」。小一時間かけ、何とかジャッキで屋根をどけて体を引っ張り出した。体はまだ温かく、きれいな顔をしていたが息はなかった。崩れた柱が上半身を直撃し、即死のようだった。

 夫婦は年が八つ離れているせいかけんかもなかった。昨年12月28日のゆき子さんの誕生日には、康則さんがケーキを買ってきて一子さんと3人で祝ったばかり。康則さんが「明るく頑張り屋で冗談をよく言う人だった」というゆき子さんの声は、家族の中心だった。ようやく子供や孫と集まれたのは、5日に七尾市で開いた葬式だったという。

 「台所にでもおれば助かっていたかもしれない。でも地震が(娘や孫が帰省する)2日だったらと思うと、もっと怖い…」。一子さんはうつむきがちに語った。【斉藤朋恵、横見知佳】

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