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“一発勝負”の20分 日本の探査機SLIM、20日未明に月面着陸へ


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が日本時間20日午前0時ごろ、日本初の月面着陸に挑む。成功すれば旧ソ連、米国、中国、インドに続く5カ国目の快挙となるが、ただ降りるだけではない。降りたい場所にピンポイントで降りる世界初の技術実証が最大のミッションだ。開発着手から約20年。一発勝負の20分間が訪れる。

 SLIMは昨年9月、H2A47号機で鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。同12月25日に月の周回軌道に入り、今月15日までに着陸準備に入った。19日午後10時40分ごろから月の上空15キロまで高度を下げ、20日午前0時ごろ、いよいよ降下を始める。約20分後に月面に降り立つ予定だ。

狙うはピンポイント着陸

 着陸予定地は、月の東側、赤道のやや南に位置する「神酒(みき)の海」にある「SHIOLI」というクレーター(直径300メートル)付近の傾斜地。ここに、従来の誤差数キロ~数十キロレベルを大幅に狭める「誤差100メートル以内」という桁違いの精度で降りる。

 地球の6分の1とはいえ重力のある月面着陸は難易度が高い。降下を始めたら途中で引き返すことはできず、まさに一発勝負。降下開始時の機体は秒速1・8キロ(時速約6400キロ)にもなり、約800キロ先にある半径100メートルの円内をピンポイントで狙う。JAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーは「航空機の数倍の速さで新千歳空港の上空を通過し、20分後に甲子園球場にピタッと降りるようなもの」と例える。

二つのキーテクノロジー

 難条件克服の鍵は主に二つある。一つは画像照合航法だ。SLIMは着陸態勢に入ると、搭載カメラで月面を撮影し、点在するクレーターを検出。事前に入力した地図と照合し、目標地点を自動で見つけ出す。同時に自身の位置を推定、制御しながら目標に近づく。

 もう一つは2段階着陸方式だ。SLIMは姿勢を傾けながら着陸態勢に入り、後ろ側の脚が月面に接地した後、機体が前方に倒れ、前側の脚も接地する。あえて転ぶような着地法で衝撃を和らげる計画だ。

 源流となった計画が始まったのは2000年ごろ。坂井さんは「万全は尽くした。20年かけて開発してきたものが最後に試される20分がやって来る。何とかクリアしなければと強く思う」と、その瞬間を待つ。【田中韻】

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