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遺影も喪服もない… 地震で母犠牲、輪島の火葬場使えず金沢で別れ


 能登半島地震で石川県輪島市の倒壊した自宅の下敷きになって亡くなった片山夫子(ふうこ)さん(91)が12日、金沢市内の葬儀場で火葬された。見送った長男の和哉さん(71)と長女の水谷澄子さん(69)は「来年から、正月が正月じゃなくなってしまった。なんでお祝いするはずの日に……」と言葉を詰まらせた。

 地震が起きた1日、夫子さんと同居していた澄子さんは、新年を祝うために訪れていた娘と孫を見送るため、外に出ていた。揺れを感じ、夫子さんの様子を見ようと自宅に戻り、夫子さんのそばに寄ったところ、震度6強の強い揺れに襲われた。屋内には澄子さんの夫と息子もいたが、4人とも倒壊した自宅のがれきの下敷きとなった。「母の叫び声が聞こえた後、無音になってしまった」

 自力で脱出した夫と息子が近所の人に助けを求め、澄子さんは約10時間後に救助された。一方、夫子さんががれきの下から運び出されたのは5日後だった。

 輪島市周辺の火葬場は被災していたため、遺体は金沢市内に運ばれた。遺影もない、喪服もない、ほかの家族も被災して参列できない。きちんとした葬儀はできなかったが、兄妹2人で火葬を前に最後の別れを惜しんだ。「母はよく『ありがとう』と言う人だった。きっと自分が犠牲になって皆を守ってくれた」と澄子さん。夫子さんの顔を触りながら何度も「本当にありがとうね」と語りかけた。

 輪島市西部の大沢町に自宅がある和哉さんは、たまたま出かけていた市内中心部で被災。自宅周辺は孤立集落となって帰宅できない。車中泊などが続き、今後の住まいも決まっていない。「住めなくなっても、せめて一度帰って、おやじが眠る大沢の墓におふくろを一緒に入れてやりたい」と話した。【北山夏帆】

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