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乙姫に殺意はあったか…小学生が裁く「浦島太郎殺人事件」 判決は?


 乙姫に殺意はあったのか――。札幌地裁で行われた模擬裁判で、小学生たちがそんな難題と向き合った。扱った事件は童話を題材にした架空の「浦島太郎殺人事件」。それぞれが裁判官や検察、弁護人役になりきり、裁判は開廷した。さて、被告の乙姫は子供たちにどのように裁かれるのだろうか。

 事件の概要はこうだ。一匹のカメをいじめっ子たちから助けた浦島太郎が、カメに竜宮城へ案内される。おいしい料理やお酒を堪能し、楽しい時間を過ごした浦島太郎だったが、家族のことが気になり地上へ帰ることに。引き留めを振り払い帰ろうとする浦島太郎に乙姫は腹を立て、「決して開けてはいけない玉手箱」を渡した。地上に戻った浦島太郎は玉手箱を開け、中から出てきた煙を吸って死亡。警察は殺人容疑で乙姫を逮捕し、検察が同罪で起訴した――。

 子供たちに裁判所の役割を知ってもらおうと、同地裁が9日に開いた模擬裁判には、札幌市内の小学生30人が参加。実際の法廷で配役に合わせて持ち場に着席した。不思議と緊張感が漂う。「それでは開廷します」。裁判長の声が響いた。

 争点は、乙姫に殺意があったかどうかだ。乙姫は当然、殺意を否定し、弁護人は無罪を主張する。

 「いたずらでびっくりさせてやろうと思っただけ。煙を出す薬の量を間違えてしまったの。殺すつもりなんてなかった」。しかし、検察側は冒頭陳述で「煙を出す薬をわざと多く入れ、浦島さんが玉手箱を開けるように仕向けた」と指摘した。

 両者の主張が食い違う中、カメとタイが証言台に立つ。カメは乙姫が怒っていた様子や、浦島太郎が玉手箱の中身を気にしていた様子を証言。タイは「乙姫様はいたずら好きだが普段はとても優しい」と乙姫の人柄について話した。

 乙姫本人は「絶対に開けてはいけないと伝えたので、開けることはないと思った」と玉手箱を返してもらわなかった理由を説明した。証拠調べを終え、検察側は乙姫に懲役10年を求刑。弁護側は改めて無罪を主張して裁判は結審した。

 模擬裁判が終わり、異なる役の立場で裁判を体験した子供たちからは、さまざまな意見が飛び交った。

 一部は「玉手箱を開けるかどうか、そもそもコントロールできない」「殺意があったならその場で殺害して遺体を海底に遺棄するはずだ」「何度も『開けないで』と念押ししている」と無罪を主張。一方で「本当に開けてほしくなかったら玉手箱を渡さなければいいだけ」「開けてほしくないなら中に何が入っているか言うべきだ」「『どうなっても知らないわ』と言っているから殺意があったに違いない」と有罪派からも鋭い指摘が飛んだ。

 裁判長役を演じた小学5年の北野陽彩さん(11)は証拠を精査した上で「私が判決を下すなら、求刑通り懲役10年にする」と判断。模擬裁判については「初めての体験で楽しかった。裁判官の仕事に興味を持った」と笑顔を見せた。

 議論の様子を見守っていた札幌地裁の畑中胡春裁判官は「裁判官でもこの裁判は難しい。みんなの意見はどれも的を射ていて、この中に法曹界に興味を持っている子がいたら本当に頼もしい」と目を細めた。【金将来】

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